第22章 はじまりの3人
季節はめぐり、春。
みんなが旅立った歳にようやく追いついた。
おかあさんは「ナナもついにこの時がきたのね」なんて、ここ一週間暇さえあれば泣いていた。
私が泣き虫なのは、どうやらおかあさん譲りらしい。
旅立つ日の前日。荷造りを済ませ、着替えも用意して準備完了。
今日は自分から、おやすみなさいを言って部屋の明かりを消した。
ベッドに丸まって、イーブイを抱き締める。
この子も連れて行きたかったけど、いろいろ考えてお留守番させることにした。
「時々帰ってくるから、まっててね」
返事はないけど、まってるって言ってくれた気になってもう一度ギュッてした。
明日になれば、このあったかいお布団とも、大好きなナナミおねえちゃんともしばらくさよならだ。
そう思うと、あんなに楽しみだったのに、なんだか心配になってきた。
みんなは怖くなかったのかな。だって、ひとり旅なんてしたことない。ちゃんと強くなれるのかもわからないし、図鑑だって、ただ道を歩いているだけじゃ埋まらない。山にも、洞窟にも、ひとりで入らなきゃいけない。
知らない景色。知らないポケモン。知らない誰か。
考えれば考えるほど、不安でますます目が冴えてきた。
「ダメだ。眠くないや」
ベッドから抜け出し、窓を開けた。