第22章 はじまりの3人
何度も遊びにきているオーキド家。
「おじゃまします」
いつものように頭を下げてリビングに上がる。
イーブイをソファに置かせてもらってから、ダイニングの椅子に座った。
本棚の上には写真が飾られている。真ん中に写っているのは、旅立つ日のレッド、グリーン、リーフちゃん。3人の足元にはフシギダネ、ゼニガメ、ヒトカゲがいて、その横に涙で目を腫らした私と笑顔のオーキド博士が写っている。恥ずかしいけど大好きな思い出の写真。
ぼんやりと写真を眺めていると、ナナミおねえちゃんがティーセットとドーナツを乗せたお盆を持ってやってきた。
「はいどうぞ」
ナナミおねえちゃんは、紅茶にたっぷりのモーモーミルクとおさとうを入れてくれた。
「いただきます!」
ミルクでぬるくなった紅茶はちょうどいい熱さ。ごくりとひと口飲めば、甘さと香りが口の中いっぱい広がった。
「おいしい!」
あっという間に一杯飲み終わる。
「よかった。それね、新作の茶葉でタマムシデパートで買ってきたの」
ナナミおねえちゃんはふわりと笑い、おかわりを淹れてくれた。
ナナミおねえちゃんは、いつもニコニコしながら私の話をいっぱい聞いてくれる。私はそれが嬉しくて、いつも思いついたことをたくさん話すんだけど、今日はなんでかな。グリーンのことばっかりだった。
グリーンは元気?グリーンはどこ?グリーンは何してる?
「グリーンに、あいたいなあ」
ドーナツのかけらと一緒にぽろっと言葉が口からこぼれた。顔がなんだか熱くなる。下を向き、お皿に落ちたかけらをパクッと食べてえへへと笑ってみた。
ナナミおねえちゃんと目が合うと、頬杖をつき、目を細めてお花みたいに笑った。
「あの子のこと、気にかけてくれてありがとうね。まったく、ナナちゃんにさみしい思いをさせて、あの子ったら…」
「でもね」と言って、ナナミおねえちゃんは誰もいないのにナイショ話するみたいに顔を近づけてきた。
「本当はね、グリーンもとーーってもナナちゃんに会いたいと思ってるのよ」
私は、ふるふると首を横に振って「ちがう」と言った。