第22章 はじまりの3人
(がんばれレッド!負けないでグリーン!)
どっちにも勝ってほしいし、負けてほしくもなくて、心の中でふたりにエールを送った。
けれど、ついに決着がついてしまう。
カメックスの渾身の一撃をかわしたリザードンが、飛び上がってから急降下してするどい爪で攻撃した。カメックスは耐えきれず、体を地面に強く打ちつけて倒れてしまった。
「カメックス…!」
グリーンが叫ぶ。でも、もうカメックスは動かない。
リザードンは空中からふわりと降りてレッドのそばへ寄ると、足元がびりりと震えるほど大きく咆哮した。
カメックスがボールに戻される。
グリーンは握り締めたモンスターボールを見て、悔しそうに下を向いた。
グリーンの手持ちのポケモンはもういない。
オーキド博士がゆっくりと、レッドとグリーンの元へ向かう。そして、レッドとグリーンそれぞれに言葉を贈った。
私も何かレッドとグリーンに伝えたい。
「あ…あの」
なのに、うまく声が出せない。心の中はぐじゃぐじゃで、どうすればいいのかわからなかった。
リーフちゃんが私の肩に手を置く。
顔を上げると、少しだけ笑って首を振った。
見守っていよう、と言っている気がして頷いた。
俯いたまま、チャンピオンの間から出て行こうとしたグリーンが、私たちの姿を見つけ、驚いたように目を大きくした。
「……グリーン……」
グリーンは、何も言わずに扉から出て行ってしまった。
いつもカッコつけてて生意気で、それでも優しかったグリーン。
そんなグリーンが初めて見せた一面に、この時の私は怖いとも悲しいとも違う、名前をつけられない気持ちになったのを今でもよく憶えている。
そして、私たちの目の前で、新たなチャンピオンが生まれ、レッドの名は歴史に刻まれたのだった。