第22章 はじまりの3人
みんなが旅に出てからは、時々届く手紙が小さな楽しみになっていた。
各地域の切手が貼られた便箋や観光地のポストカードは、知らない外の世界を身近に感じて、眺めるだけでワクワクした。
レッドの手紙がいちばん少なかったけど、時々3人の連名で送られてくることもあって、みんなが楽しく旅を続けているのがわかって、嬉しかったし羨ましかった。
手紙が届くと、すぐにナナミおねえちゃんに見せに行った。ナナミおねえちゃんはカントー地方のタウンマップを持っていて、手紙を見せれば消印を調べて、地図を指差しながらみんながどこを旅しているのか教えてくれた。
その中でも、いつも新しい街に一番乗りするのはグリーンだった。
「……あら、あの子もうヤマブキシティだって。ほら、ここ」
ナナミおねえちゃんの細い指が地図をとん、と叩く。
まだ遠い。だけど、ちゃんと進んでる。
はやく帰ってこないかな。
「ピカチュウ!10まんボルト!」
「ぴかぴかー!」
「ゼニガメ!つるのムチ!」
家の前でひとり、ぬいぐるみたちとポケモンバトルごっこをしていた時——
「ゼニガメはつるのムチ覚えねえよ」
声がして、勝負が止まる。
「グリーン…!」
「よっ、ひとりぼっちで退屈してると思ってな」
グリーンは指を2本立てていつものへんてこなポーズで挨拶してきた。
「お、おかえり!ほんものだよね!」
「当たり前だろ」と、頭をわしゃわしゃされる。ようやく手が離れて、閉じていた目をゆっくり開くと、茶色いふわふわが目の前に現れた。
「ほら、おみやげだ。等身大は見つけられなかったけどな」
それは、ずっと欲しかったイーブイにんぎょうだった。
「わぁぁぁ!かあいいいい!」
すぐに受け取ってギュウッと抱き締めた。
「お前に似たまぬけな顔選んできた」
「私こんなにかわいいの?」
「だからっ、まぬけって言ってんだろ」
「この子はまぬけじゃない。かわいいよ、ありがと」
フッと小さく笑ってから、グリーンはポーチから何かを取り出した。