第22章 はじまりの3人
「普段の行いのせいだね。いじわるばっかするから」
リーフちゃんが私の味方につくと、ますますグリーンがこわい顔になる。
「なんだよ、ナナの泣き虫!」
「ほらひどいいいい!」
「やれやれじゃ」
オーキド博士は私たちを見て笑っている。
「ひどくねえだろ!ほんとのことだし」
グリーンが怒った顔のまま、ぽんぽんと私の頭を撫でた。
「泣くなって!図鑑のデータ集めなんて、オレさまが全部終わらせてすぐ帰ってきてやるから」
「…ほんと?」
鼻をすすりながら顔を上げると、グリーンはもう怒ってなかった。
「おう!ついでにビッグなおみやげも持って帰ってくるぜ!」
「ビッグ?等身大イーブイにんぎょう?」
「もっとスケールがでかいヤツ!」
「なに?」
グリーンは両手を腰に添えて、えっへんと威張ったポーズをとった。
「最強のポケモントレーナーになるんだ!そしたらお前、みんなに自慢していいぜ!最強の幼馴染グリーンさまを!」
「イーブイの方がいい」
と言うと、なぜかリーフちゃんが爆笑している。それを見て、またグリーンの目つきがキツくなった。
「まったく、ナナはまだまだおこちゃまだな」
グリーンは両手でやれやれのポーズをすると、くるんと背中を向けた。一度だけ振り返ると、ちょっぴり笑って私から離れていく。
それに続くようにレッドも歩き出す。リーフちゃんは少し寂しそうに手を振ってから、レッドたちを追いかけた。
3人の背中が小さくなっていく。
その姿をずっと目で追いかける。
けれど、もうみんな振り返らない。
止めたってダメなんだ。
一緒にはいられないんだ。
「…みんな」
旅が、始まったんだ。
「いってらっしゃい…」
名前を呼びながら、両手をいっぱい伸ばして手を振った。
やがて、みんなの背中が見えなくなって、私はひとりになった。