第21章 行方不明
「……これで、今回は我々が関与していないのはわかってもらえただろう?」
「いいや、あんたがただの親切でこんな情報を与えるとは思えない。他の組織に罪をなすりつけようとしている可能性もある」
「フッ、攫われた彼らの素直さを少しは見習ってほしいもんだな」
オヤジは威圧的な視線を崩さず、ポケットに手を突っ込みながら挑発的に笑った。
「ここまでサービスしてやったんだ。あとは自力で探すんだな」
「見逃すかわりに、オレを駒にして利用しようって魂胆か?」
「望みの情報は提供した。ロケット団はあらぬ疑いをかけられ、執拗に監視されて困っている。ビジネスとしてこれ以上ないほど、互いに有益な取引だと思うがね?」
ペルシアンをボールに戻し、部屋の奥へと進もうとするオヤジを呼び止めた。
「待て!」
モンスターボールを構えるオレを一瞥し、オヤジはやれやれと呆れたようにかぶりを振った。
「わたしは忙しいんだ。もうお前に付き合う時間はない」
オヤジが指を鳴らすと、突然死角からロケット団が現れた。
やっぱりな。オヤジ自ら囮になった罠だったってワケか。
「つまみ出せ」
「はッ」
両腕を拘束され、体の自由を奪われる。
「待て…ッ、なにを企んでやがる!」
答えは返ってこない。
オヤジは無言で壁に触れる。触れた部分が小さく震え、やがて音もなく開いて隠し扉が現れた。
「そういえば」
去り際に一度だけ振り向くと、
「女と一緒にいた帽子の彼——Nは、プラズマ団の王だったな…?」
そう吐き捨てて、扉の向こうへと消えた。
それは問いかけというより、わざとらしく何かを示唆するような言葉だった。