第19章 グリーンの看病
「——…頼って、いいの…?」
「今までダメだったことあるか?」
「たぶん、ない」
「だろ?」
ふわりと優しく腕に包まれる。
「だから、治るまでしっかり甘えてろ」
耳元で紡がれる甘い声に、たまらなくなって目を閉じた。そのままそっと引き寄せられて、グリーンの胸に頬が触れた。
トクン、トクン。心臓の音が聞こえる。ゆっくりと、確かにそこにあって、私の不安や寂しさを忘れさせてくれる大好きな音。
「……でも、もしうつっちゃったら…」
嬉しいのに、素直になれない。
だって、やっぱり迷惑はかけたくない。
「いいから」
短く返ってきた声のあと、腕が背中に回る。逃げ道はもうなくなった。
移したくない。迷惑かけたくない。
「グリーン…」
断らないと。自分から離れないと。
「どうした?」
ひとりで平気。
そう伝えようと思ったのに。
「……帰っちゃ、やだ……」
(あれ?)
自分の声が自分のものに思えず、言葉を理解するまで少し時間がかかった。
口にしてしまったあと、熱のせいだと頭の中で言い訳しながらも、気づけばグリーンの服をぎゅっと掴んでいた。
グリーンが、一瞬だけ息を止める気配がした。
「……いつもそれぐらい素直だと、こっちも助かるんだけどな」
苦笑混じりの声。でも腕の力は緩まない。
むしろ、いつもよりずっと優しくて、ずっと強い。
朦朧としていた意識が、今はもう恋の熱に浮かされ胸が苦しい。
こうやってきっと何度だって、私は恋に落ちてしまうんだろう。