第4章 Ever green③
「なんだとっ!!」
体重のあるカメックスには、それだけで手痛いダメージだ。
フシギバナはヨロめきながら、わずかに残った力を振り絞り、カメックスをツタで拘束する。カメックスは苦しみながらもツタを振り解こうと抵抗する。
ツタから体力を吸い取り、ジワジワと萎れかけた背中の花が鮮やかさを取り戻してゆく。
フシギバナが回復する前に、カメックスを助けてあげないと!
だけど、フシギバナにでんきは効果が薄いのに加え、下手をすればカメックスにダメージを更に与えてしまう。
ならば、まずはでんきのわざを使わずにツタを切るしかない。
「サンダース!ツタを…」
「させない!」
サンダースへ指示を飛ばそうとした刹那、レッドの声が重なった。
凶暴な目つきのリザードンが口の端から炎をもらし、サンダースの前に立ち塞がる。
「…!」
「じっ10まんボルト!」
向かい合う2匹から放たれた、炎と電流が火花を飛ばしぶつかり合うと、大きな音を立てて互いのわざを打ち消した。
サンダースは、レッドのリザードンのかえんほうしゃに怯むことなく立ち向かったのだ。
「サンダース…!すごい!」
レッドと視線が交わる。すると、真剣な表情がほんの一瞬緩み、微笑んでいるように見えた。
レッドにぶつけるんだ。自分が今まで積み重ねてきた全てを。
一方で、カメックスはツタにがんじがらめにされ身動きが取れない状態が続いている。