第4章 Ever green③
戦闘の最中、私は、控室での会話を頭の中で反芻していた。
「いいか?リザードンはみずとでんきでオレらが優位だ。だからこそ向こうはリザードンを陽動にしてフシギバナで先にカメックスを落とそうと仕掛けてくるはずだ」
「じゃあサンダースがカメックスを守って、リザードンはカメックスに任せればいいかな?」
「いや、それは向こうも読んでいるはずだ。だから意表を突く!」
そう、私たちが最初に狙っていたのは——
「カメックス!フシギバナに拳をぶちかませ!」
フシギバナが体勢を崩し生まれた、ほんの僅かな隙。グリーンはそれを見逃さない。
カメックスは標的をすぐに切り替え、身体を捻らせながら瞬間冷凍させた拳をフシギバナへ向ける。重たい身体をすばやくシフトウェイトして繰り出された唸るようなパンチは、轟音をあげてフシギバナに直撃した。
鉄球のように鈍く重たい「れいとうパンチ」に思わず息を飲む。
「フシギバナッ!!」
リーフちゃんが悲鳴が上げた瞬間、客席の歓声がそれを掻き消した。
こおりの拳はフシギバナの脇腹を抉るようにヒットし、低い唸り声を上げて地面に倒れ込む。
「もう終わりか?」
グリーンは倒れるフシギバナを横目に、空中で羽ばたくリザードンを睨みつける。
「次はあいつを…」
「まだ…これからだよ!」
いつの間に仕掛けていたのだろう。会場の床を貫通し、地表から突き出たツタがカメックスの足に絡み付いて転倒させた。