第4章 Ever green③
グリーンは舌打ちしながら、汗ばむ額を拭った。
「クソッ、とっておきだったが仕方ねぇ」
手にしたのはポリゴンフォン。
パシオのバディーズ全員に配布されるこのポリゴンフォンには、マルチ情報ツールとして使う以外にも、ポケモンとのキズナを増幅させる力があるという。
その力の正体は、本体に嵌められているバディーストーンだ。
このバディーストーンで力を引き出された能力、通称バディーズわざは、パシオでのポケモンバトルおいて必要不可欠なものらしい。
ものらしい——というのは、この石が秘めるパワーがまだ全ては解明されていないというのと、私自身まだ使えたことがないので、どれほどの効果があるのか実感できていないからだ。
「いくぜ!バディーズわざだ!!」
グリーンのポリゴンフォンが光り輝き、カメックスの体が光に包まれると、地鳴りのような咆哮が響いた。バディーズわざを発動し、メガシンカを遂げたカメックスは、バズーカの如く激しい水圧でフシギバナのツタを引きちぎる。
その迫力に、観客席から拍手喝采が起こる。