第4章 Ever green③
「よぉ。WPMではお前らとチームを組んでたが、またこうして戦えて嬉しいぜ!」
口火を切ったのはグリーンだった。
「2人が最後まで残るとオレは確信してた。それはお前らもだろ?レッド、リーフ!」
「もちろん!決勝戦はグリーンとナナちゃんだと思ってたよ!」
リーフちゃんは笑顔で答える。
一方のレッドは王者の貫禄で私とグリーンを見据える。
なんて熱い瞳なんだろう。
優しい彼が見せる熱い情熱の炎は、見つめ合うだけで心に灯火をつける。
この人に自分のすべてを、全力をぶつけたい、そう思えるくらい、小さかった私の勇気の炎が勢いを増す。
「諸君!そろそろ始めようではないか!」
唐突に、主催のライヤーさんの声が、マイクを通しスタジアム内に響き渡った。
観客席は一斉に静まり返る。
会場のメインスタンドには仁王立ちしたライヤーさんの姿が、その後ろにはチェッタさんとドリバルさんが並んでいる。
ライヤーさんは、スタジアムの視線を一身に集めながら、パチンと指を鳴らした。
「1日がかりのこの大会、長時間の開催についてきてくれた観衆、そして、全ての出場者に感謝する!」
ドッと拍手が沸き起こる。どこかの国の王子だと聞いたけど、やはり大衆の心を掴むカリスマ性と話術に長けているなぁと感心する。
ライヤーさんは、尖ったサングラス越しに私の方に視線を向けた。
「ナナ、お前はパシオのイベント初出場だと聞いた。グリーンとは同郷で幼馴染だそうだな。2人のキズナ、しかと見届けさせてもらったぞ!」
ライヤーさんの言葉にスタジアムがどよめいた。幼馴染というのが驚きだったのかもしれない。
そして今度はレッドへと視線を移す。レッドを見た途端に顔つきが険しくなった。
「フン、またキサマか。まぁいい。今宵は祭り、パシオを盛り上げるPRとして、キサマらの実力大いに利用させてもらうぞ!」
ライヤーさんの言葉にレッドは頷いた。
2人はどうやら知り合いだったようだ。
「さぁ!決勝戦まで勝ち抜いた両チームよ!熱き闘志を正々堂々とぶつけろ!そして示すのだ!パシオNo. 1のキズナの強さを!!」