第4章 Ever green③
「キズナ」の大会、トーナメント決勝戦。
パシオの中枢にあるセントラルシティーの中央通りを真っ直ぐ進んだ先、巨大な星型のシンボルを背にした円形のスタジアムがトーナメント会場だ。
ベスト8から準決勝までは開会式と同じ会場だったけれど、決勝戦はさらにその上、会場内に聳え立つ巨大な柱の頂上にあるコロシアムが舞台だ。
観戦でしか訪れることのなかったこのコロシアムに、今私は出場者として立っている。
またしても苦手な高所ではあるが、客席が会場をぐるりと囲んでくれているおかげで下が見えず、ここがセントラルシティで1番高い場所という恐怖が幾分か薄らぎ、なんとか平静を保てている。
予選からトーナメントを1日がかりでやるという過密スケジュールなこの大会、決勝トーナメントを迎える頃、時刻は既に夕方を回っていた。
夕陽が会場を茜色に染める中、私とグリーンは、大観衆の熱狂の渦に包まれながら、決勝のステージへと進んだ。
コロシアム中央には、私たちより先に決勝進出を決めた相手が既に待機していた。
よく見慣れた2人の姿にハッと息を呑む。
嬉しさと共に目頭が熱くなる。
だけど、またグリーンに泣き虫と言われてしまうと思い、グッと涙を堪え歩んでゆく。
飛び交う声援の中、近場の観客席の声が耳に入ってきた。
「やっぱりカントー出身のあの3人が残ったな!」
「あの子は?」
「さぁ?グリーンがいるから勝ち進んだんだろう」
「グリーン様に迷惑かけないでよね!」
できるだけ平常心を保とうと拳を握る。
批判的な意見は当然だ。
私は3人みたいな実績も知名度もないし、パシオでの大会は初出場。
新人は否定的な目で見られるのは仕方のないこと。
仕方ない、仕方ない、仕方ない……けど、やっぱり少し萎縮してしまう。
トーナメントもほとんどグリーンの活躍で勝ち抜いたようなものだったし。
不安な気持ちを押し殺し、気にしちゃダメと胸中で自身に言い聞かせていると、グリーンがファンサービスを中断しこちらへ振り向いた。