第4章 Ever green③
「行くぜ」
「うん!」
繋がった手をさらに強く握り返した。
合図と共にタイルを蹴り、足が地面へ到達する。ついに崖を渡り切ったのだ。
恐怖から解放され胸を撫で下ろす。
「できた…」
一気に力が抜け、へなへなとその場へ座り込んだ。
そんな私の横でグリーンは、息も上げず余裕そうな表情で、腕組みして私を見下ろしている。
「おめでとう!試練クリアだヨ!!」
フウくんとランちゃんが歩み寄ってきた。2人とも満面の笑みで、まるで試練の成功を自分のことのように喜んでくれている。
「お姉ちゃん、さっそくポリゴンフォンを見て!」
フウくんに言われるがままポリゴンフォンを開けば、画面の地図上から、赤いマークがひとつ消えて金色に変わった。
聞くと、金色が試練完了のマークらしい。
ランちゃんがポリゴンフォンを覗き込み、画面を確認すると、今度は私の顔を上目遣いで見つめてきた。瞳がキラキラと眩しい。
「すごいね!すごいね!はじめはバラバラでも最後は息ぴったり!ステキなキズナ!」
そう言われ、嬉しい反面恥ずかしくなり顔が赤くなる。
クリアできたことに自分自身が1番驚いている。
グリーンとのキズナ、少しは強くなったのかな。
「よかった…まだちょっと自信ないけど」
「ううん、2人ならきっと大丈夫!」
「次の試練もがんばってネ!」
ランちゃんに続いてフウくんもエールをくれた後、最後は2人でお決まりのカンフーポーズ。
その、寸分の狂いもない動作に思わず拍手を送る。
「2人ともありがとう!じゃあもう行くね」
フウくんとランちゃんに別れを告げると、2人は鏡を合わせたように左右対称の動作で手を振った。
私も手を振り返しながら、光が差す洞窟の出口へと歩み始める。
「優勝かっさらってくるからな!」
振り向きざま、グリーンが一言優勝宣言をすると、双子ちゃんの「がんばれー!」が洞窟内で反響した。
こうして、1つめの試練をクリアした後、残る3つの試練もくぐり抜け、グリーンの宣言通りに私達は決勝トーナメント進出を決めたのであった。