第4章 Ever green③
そうこうしてる間に、遠くからいくつもの足音が聞こえてきた。
グリーンが真剣な表情になる。
「行くぞ」
頷き、深く息を吸う。
「青…赤……今だ!」
合図に合わせて地面を蹴った。
身体が宙に浮く瞬間に湧き起こる、恐怖、焦り、不安。
そんな気持ちを繋がれた手が打ち消してくれる。
グリーンが隣にいる。それだけで勇気がわいてくる。
足がタイルに届き着地の反動で身体がよろめくと、すぐに力強く手を引かれた。
「下、見てみろ」
体勢を整える私の横で、グリーンが足元へ目配せをする。
見れば、タイルの色は右の私が緑、左のグリーンが青。天井のマークは右から⚪︎×。
足場は消えることなく留まっている。
ということは、
「もしかして…成功!?」
「だろ。どう見ても」
「落ちてない!やったぁ!」
目が合うと、互いにニーーッと笑顔になった。
「このまま全部渡り切るぞ」
「うん!」
声をかけ合い、タイミングを確認しながら2回、3回、4回……息を合わせてジャンプする。
「次でラストだ!」
グリーンの表情がキラキラしている。
私は、彼のこの瞳が好きだ。
自信家で生意気で、野心に満ちた瞳。