• テキストサイズ

【ポケマス】パシオで恋して

第4章 Ever green③



「すごい!ジムの仕掛けみたい!」

目をキラキラさせる私とは対照的に、グリーンは冷静な表情で考え込んでいる。

「グリーン!タイミングよくいっせーので渡ろう!」

「いっせーのつったってよ、闇雲に進んでハズレたらどうすんだよ」

「そしたらやり直せば大丈夫だって」

だけど、根拠のない大丈夫はすぐに否定されてしまう。

「ダメだ。こういう時こそ冷静にならねーと」

グリーンは呆れたようにため息をついた。

「でも、早くしないと人が来ちゃうよ。間違えたらまたパターンを覚えてやり直せばいいし」

と言ったタイミングで、重なった双子の声が忠告を告げる。

「「ハズレたら足場が消えて失格だから気をつけてね!!」」

「だ、そうだ」

「オレの言う通りだったろ?」とでも言いたげに、腰に手をあてて得意げな顔をしている。

ある言葉を私は聞き逃さなかった。

「ちょっと待って。足場が消えるって?」

タイルに近づいて確認しようとすると、すぐ手前で地面が途切れているのに気づき、慌てて後退する。

しゃがんで目を凝らせば、光るタイルの下は底が見えない切り立った崖になっていた。

落ちたら奈落まで真っ逆さま。

背筋が一瞬で凍りついた。

「へっ、こりゃあさっきよりもスリル満点だな。よかったじゃねーか。結果的にあれが準備運動になって」

落ちて内臓が浮く感覚を思い出しただけで身震いする。

「そんな…また怖い思いを…」

「しかも今回はオレにくっつけない」

グリーンの含みのある笑みを松明の明かりが逆光となって照らし出すと、意地悪&不気味さ倍増で、まるで悪の大魔王みたいだ。

ニヤつく大魔王を前にギョッとして固まる。

「なんでそんな嬉しそうなの?」

グリーンは即答する。

「ナナを困らせるのが楽しいからに決まってんだろ」

「変態だ!」

「誰が変態だよ!」

「変態の趣味に私を巻き込まないで!」

「趣味じゃねえ!予選だ!」

/ 46ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp