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蒼き龍の逝きる意味

第7章 第7章 休養中編


<焰side>

ふと、意識が戻ってくるのを感じる。
そのまま目をゆっくり開ければ、辺りが暗い。
窓の外を見てみれば、月が登っている。夜か。

焰「…どれだけ寝ていたんだ俺は……。」

のそりと起き上がり、厠に行こうと立ち上がる。
朝より良くなった気のする体は、
久しぶりに散歩がしたいと訴えてくる。

焰「(…蝶屋敷の周りを1周くらいなら
体に障りあるまい。)」

シン…と静かな蝶屋敷の中を息を潜め、
音を立てぬよう
ゆっくりと歩く。
厠に着き、用を足してから玄関へ向かう。

その途中、縁側を通って行かないといけないのだが…

焰「(まさかこんな時間に起きているとはな…。)」

月の光に照らされ、篝火のように煌めく髪。
その後ろ姿で分かる、強者の気配。

炎柱だ。

焰「(大方、目が冴えてしまって
眠れなかったんだろう。)」

だが、暖かな季節とはいえ夜はまだ肌寒い時もある。
患者服だけとは感心しない。

とはいえ、何か貸してやろうにも羽織は1枚だけ。
辺りには何も無い。

焰「………。(仕方ない。)」

気配を消し、脱いだ羽織を背中に掛けてやる。
すると、炎柱は物凄い驚いた後こちらを
首がもげる勢いで振り返った。

煉獄「か、がみ少女…?」

焰「嗚呼。」

炎柱は状況を読み込めていないらしく、
困惑と驚きを顔に浮かばせている。

案外、面白い反応を見せてくれる。

焰「厠に行った後、久々に外でもゆっくり歩こうと
通りすがりに縁側に来てみれば、何も羽織らずに
ぼんやりしている先客を見付けたものでな。」

そう言えば、何となく理解したのか
困惑と驚きは表情から無くなっていた。
ただ、疑問があるような顔はしているが。

焰「…なんだ、言いたい事があるなら
はっきり言え。」

煉獄「あ、いや…。…何故俺に、君の羽織を
掛けてくれたのだろうと、思って…。」

タジタジといつものような元気さは無く
子供のような雰囲気の炎柱。

焰「暖かな季節とはいえ、まだ肌寒い時も
あるだろう。だから掛けたんだ。」

煉獄「それだと、今度は火神少女が
何も羽織っていないぞ?」

焰「…嗚呼、本当だな。」

まぁ、1枚だけだし仕方ないだろう。
それに、俺より先に居たお前の方が冷えているから
気にしないで欲しいのだが…。

煉獄「ん!《掛けられた羽織の自分の
左側をめくり、指を指す》」
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