第6章 無限列車編後
<焰side>
しのぶ「焰さん、あなたの体には大きく抉れた傷と後遺症が少し残ります。」
焰「嗚呼。」
しのぶ「……それと━━━━━━━━━━━━━。」
焰「……嗚呼、そうか…。」
俺は蟲柱のその言葉を聞いて、少しだけ……
ほんの少しだけ、悲しかった…気がした。
しのぶ「あまり体に負担は掛けないように。」
焰「善処しよう。」
診察も終わり、俺は診察室から出た。
目の前に居るとは思わなかった、炎柱が居た。
煉獄「…その、結果はどうだった?」
焰「……体にあまり負担は掛けないように、と。」
煉獄「そうか。ゆっくり休むんだぞ!(ニカッ」
焰「……嗚呼。」
炎柱の目の前を横切り、俺は自分に与えられた場所へ戻る。
焰「フー……、落ちぶれたもんだな……。」
それ程長くは無い廊下が、とても長く感じられた。
左脇腹が、酷く痛む……。頭痛が酷い……。
焰「……こんなに、俺は…か弱かっただろうか……。」
ズルリと壁に凭れ掛かり、下へずり落ちる。
頭痛のせいか、視界が歪む。
冷や汗だろうか、体がベタベタで気持ち悪いし冷える……。
善逸「ちょっ!?焰さん……!!?(焦」
目の前から少し甲高めの声が響いてきた。
ゆっくりと顔を上げれば、あの時の金髪の隊士……。
善逸「えっ!?大丈夫ですか!?しのぶさん呼びます!?」
焰「キャンキャン喚くな……、犬じゃあるまいし……。」
善逸「あっ!辛辣……!!じゃなくて!
顔色真っ青ですよ!?死にそうな位に!」
焰「………大丈夫だから、少し静かにしろ…。
頭に響いて頭痛が酷くなる……。」
俺がそう言うと金髪の隊士は「ごめんなさいねっ!?」と
慌てた様子で謝り、静かになった。
焰「………いらん心配を掛けた。もう行っていいぞ。」
善逸「……嫌だ。俺はアンタを置いて行かない。」
焰「………は…?」
目の前の金髪の隊士の顔を見上げる。
そこには泣き虫の餓鬼ではなく、真剣な顔をした少年が居た。
善逸「……俺、人より耳が良いんだ。
だから、アンタの心音で何考えてるか分かる。」
【痛くて痛くて堪らないって、悲しいって音がしてる。】
ドキリとした……。
怪我や頭痛が痛くて堪らないと思っていたし、
蟲柱の言葉に悲しんでいたかもしれないと自分も分かっていた。