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蒼き龍の逝きる意味

第6章 無限列車編後


煉獄「何故、泣いているんだ《・・・・・・・》?」

ホロリホロリと火神少女の御納戸色の瞳から
大粒の涙が零れていた。

焰「……何だこれ。」

泣いていることに若干の戸惑いを見せる火神少女。
どうやら彼女も泣いている理由が分からんらしい。

煉獄「これは涙だ。悲しい時、嬉しい時、苦しい時、寂しい時、色々な時に出る。」

焰「へぇ…………。」

止まることを知らない涙はどんどん火神少女の手と羽織を濡らしていく。

煉獄「今の君は、どんな感じだ?」

焰「……ここ《心》ら辺が、キュッとして、
ザワザワする。息苦しい………………。」

たどたどしく説明していく火神少女。
自分ではよく分からない感情に少し不安そうだ。

煉獄「どうして、そこ《心》がキュッとするんだ?」

焰「………師範、が、居ないから。」

「何か、変な感じだ。」と言う火神少女。
そこまで理由が分かっているなら答えは簡単だ。

煉獄「それは"寂しい"からだ!」

焰「さ、びしい?」

煉獄「うむ!」

ぽかんと俺を見上げる火神少女。
訳が分からんという顔をしているな!

煉獄「すぐに分かれ、とは言わん。ゆっくり理解していけばいい。」

「だが、今は思うがままに泣きなさい」と
火神少女を優しく抱き締める。
拒絶されるだろうと思っていたが、予想の斜め上をいかれた。

焰「……アンタ、変な奴だ、な。(震え声」

キュッと服を掴まれた。
体と声が僅かに震えている。

煉獄「嗚呼、俺は変な奴だな。
君とちゃんと向き合いたいからな。(フッ」

それに気づかないふりをして火神少女をずっと抱き締めた。

焰「……ングッ、フゥッ…アァッ…!ヒッ、ズズッ………!(泣」

泣き声は酷く痛々しく、下手くそで。
羽織を抱き締め、俺に縋り泣いている。

焰「そ、じろっ、さ……。そう、じ、ろぉ……さっ。(泣」

時折聞こえる火神少女が家族の名前を呼ぶ声。
もうこの世には居ない者の名前。

煉獄「(俺は…俺たちは.....火神焰という少女をどれだけ知らず、
嫌悪し、突き放し、重いものを背負わせて来たのだろう。)」

俺は泣く火神少女を離さないように掻き抱き、
何度も何度も心の中で謝り続けた。


空は、静かな青をただ広げていた。
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