第5章 あの世編
<蒼治郎side>
焰を"この世"へと続く崖の下へ突き落とした。
もうどこに居るかは見えない。
そっと後ろを向き、歩み出した……瞬間。
焰「っ愛してる《・・・・》!父上《・・》っ……!!」
大きな…叫び声にも似たその声は俺の耳に届いた。
それからは無音、無事に戻れたのだろう。
最後に聞こえたその一言で、俺はとても幸せだった。
蒼治郎「俺も、愛してるよ……焰。(泣」
お前と出会えたその日から……。
お前からその言葉を貰えただけでこんなに嬉しいなんて……。
蒼治郎「嗚呼っ、お前の父親《カゾク》になれて、良かったっ……!」
流すまいとした涙が頬を伝って地面に落ちていく。
大きくなったなぁ焰。
綺麗になったなぁ焰。
強くなったなぁ焰。
俺の自慢の娘だよ焰。
蒼治郎「(どうか俺の娘に、幸福が訪れますように。)」