• テキストサイズ

蒼き龍の逝きる意味

第8章 遊郭編


煉獄「………、…噂に踊らされていたのは
俺もだ。だから、宇髄を責めるのはお門違いも良い所だ。
だが、俺はあの子をほんの少しだけ
知る事が出来たんだ。
…噂に踊らされていた昔の自分を
殺してやりたくなったさ…。」

宇髄「…!あいつの…過去……。」

煉獄「………嗚呼。全て分かった訳じゃないが、
色々あって感情を失ったようだ。
…あの子は鬼の子なんかじゃない
唯の人間で、俺達と同じ鬼狩りで、
愛した家族を思い続けている
優しい子なんだ……………。」

宇髄「………、…本当に俺は、俺達は……
そんな事すら分からねぇで
たかが噂如きに踊らされてたんだな。
不甲斐ない…。本当に…。」

己の不甲斐なさ、人を思いやれない自分を
この上なく恥じた。
互いに俯き、俺は気付かぬうちに
宇髄の胸倉を離していた。

パンパンッ

煉獄・宇髄「「!!」」

突然の手を叩く音に驚き、
宇髄と共にバッと音の鳴った方を見ると
心なしか額に青筋が立った胡蝶が
「ようやく私の存在を思い出しましたね」と
目の笑っていない笑顔で言ってきた。

すまん、正直忘れていた。

胡蝶はこっちに近付くと…

バチンッ!バチンッ!

と、俺達の頬を一発ずつ殴って来た。

しのぶ「……、本当に、どいつもこいつも。
焰さんの事を知りもしないのに
いつもいつも悪口ばかりで心底呆れていましたよ。」

ジト…っとこっちを憎らしげに
睨み上げてくる胡蝶。

しのぶ「私は、焰さんが鬼殺隊に入った時に
お館様から呼び出されて、
過去の話を聞かされた内の一人です。」

煉獄「内の一人、というと…
もう何人か柱にあの子の過去を
知る者が居るのか!?」

思わず声を大きくしてしまい、
胡蝶がしぃ…と合図をしてきたので
口を思い切り閉じた。

しのぶ「えぇ、後一人いらっしゃいますよ。
悲鳴嶼さんですね。
何故、私と悲鳴嶼さんだけに
教えてくださったのかは分かりませんが…。」

宇髄「…悲鳴嶼さんが?マジかよ。
通りで悲鳴嶼さんのあいつへの態度が
ちょっぴり優しかった訳だ。」

煉獄「うむ!同感だ。
胡蝶が焰に対する接し方は二人の関係をそれとなくは
分かっていたつもりだが…。」

俺が知らない事を、胡蝶と悲鳴嶼さんが
知っている。
それも、お館様から直々に教えて貰っている。
なんて、羨ましいんだ。
/ 204ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp