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蒼き龍の逝きる意味

第8章 遊郭編


妓夫太郎「うるせぇんだよ!!
仮にも上弦だって名乗るんならなぁ!
手負いの下っ端三匹くらい一人で倒せ馬鹿!!」

言い争いで乱れた息が静寂に響く。
その静寂を終わらせたのは、妹の方だった。

堕姫「……、…アンタみたいに醜い奴が
アタシの兄妹な訳ないわ!!」

その瞳には大粒の涙を溜めて…。

堕姫「アンタなんかとはきっと血も繋がってないわよ!
だって全然似てないもの!!

この役立たず!!出来損ないの醜い奴よ!!」

途端、それを黙らせるように
更に大きな声が響いた。

妓夫太郎「ふざけんじゃねぇぞ!!
お前一人だったらとっくに死んでる!
どれだけ俺に助けられた!!

出来損ないはお前だろうが。
弱くて何の取り柄も無い。
お前みたいな奴を今まで
庇ってきた事が心底悔やまれるぜ。

お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた!
お前さえいなけりゃなあ!!

何で俺がお前の尻拭いばっかり
しなきゃならねぇんだ!!
お前なんて生まれてこなけりゃ良かっ……」

駄目だ、それ以上は言ったら駄目だよ。

炭治郎「嘘だよ。」

勝手に体が動いてしまった。
あれだけお互いを信じ合っていた二人が
思ってもいない事を売り言葉に買い言葉で
傷付け合ったままサヨナラなんて…
あんまりじゃないか。

炭治郎「本当はそんなこと思ってないよ。
全部嘘だよ。仲良くしよう。
この世でたった二人の兄妹なんだから。」

そうだ、たった二人の兄妹なんだ。

炭治郎「君達のしてきた事は誰も許してくれない。
殺してきた沢山の人に恨まれ憎まれ罵倒される。
味方してくれる人なんていない。
だからせめて、二人だけは…
お互いを罵り合ったら駄目だ。」

焰「……。」

一瞬の静寂、大きな、幼い泣き声が
耳に届いた。

堕姫「うわああああん!!うるさいんだよォ!!
アタシ達に説教すんじゃないわよ!
糞ガキが!向こう行けぇ!どっか行けぇ!!
悔しいよぅ悔しいよぅ!!
何とかしてよォお兄ちゃあん!!
死にたくないよォ!!お兄っ…」

バサ……

妓夫太郎「梅!!」

そう呼んだ彼は、ハラハラと消えて無くなった。
きっと、梅とはあの女の子の名前なんだろう。

炭治郎「仲直り、できたかな?」

禰豆子と目と目を合わせる。

禰豆子「(コクリ」

確信したような顔で頷く禰豆子。
そうだな、きっと仲直りできたよ。
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