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蒼き龍の逝きる意味

第8章 遊郭編


<NOside>

妓夫、とは。

遊郭において主に客の呼び込みや集金をしていた
役職の者達を指す言葉である。

「ぎう」または「牛太郎」などの
呼び方があったが、
役職名をそのまま名前としてつけられたのは
妓夫太郎だけではないだろうか。

まだらにある人間の記憶のまま、
彼は今もその名を名乗っている。




妓夫太郎「お前いいなぁ。(ボリ…」

妬ましそうな顔で宇髄を見る妓夫太郎。
額や頬、頚をボリボリと引っ掻いている。

妓夫太郎「その顔いいなぁあ。
肌もいいなぁ。シミも痣も傷もねぇんだなぁ。肉付きもいいなぁあ。
俺は太れねぇんだよなぁ。」

ボリボリ

妓夫太郎「上背もあるなぁあ。
縦寸が六尺は優に超えてるなぁあ。」

ボリボリ

妓夫太郎「女にも嘸かし持て囃されるんだろうなぁあ。」

ボリボリボリボリボリボリ

妓夫太郎「妬ましいなぁあ、妬ましいなぁあ。
死んでくれねぇかなぁあ。
そりゃあもう苦しい死に方でなぁあ。
生きたまま生皮剥がれたり
腹を掻っ捌かれたり、それからなぁ。」

体中を引っ掻き回し、そこから血を流し
それでも妬みを恨みを溢していく妓夫太郎。

堕姫「お兄ちゃん!コイツらだけじゃないのよ!
まだいるの!!
アタシを灼いた奴らも殺してよ!絶対!」

未だに泣き喚く堕姫。
その勢いは目玉を溶かしそうだ。

堕姫「アタシ一生懸命やってるのに!
凄く頑張ってたのよ一人で……!!
それなのにねぇ!皆で邪魔して
アタシをいじめたの!!
よってたかっていじめたのよォ!!(泣」

まるで、宇髄達が悪者だと言わんばかりに
そう言う堕姫。

妓夫太郎「そうだなぁ、そうだなぁ。
そりゃあ許せねぇなぁ。
俺の可愛い妹が足りねぇ頭で一生懸命やってるのを
いじめるような奴らは皆殺しだ。」

焰と宇髄の間に居る妓夫太郎は
焰の事は意に返さず、宇髄の方へ体を向ける。

妓夫太郎「取り立てるぜ。俺はなぁ…
やられた分は必ず取り立てる。」

手に持っている鎌が妓夫太郎の握力で
ミシリ…と音を立てる。

妓夫太郎「死ぬときグルグル巡らせろ。
俺の名は妓夫太郎だからなぁあ。」

瞬間、妓夫太郎は宇髄と後ろにいる焰に向かって
鎌を飛ばした。
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