第8章 遊郭編
<炭治郎side>
足を掴んで、理解が追いついていない
鬼の頚に向かって、刀を振る。
ガキュィン!
ババッ ビュウ…
炭治郎「(足を千切って逃げたのか……。)」
持っていた鬼の足を投げ捨てる。
炭治郎「失われた命は回帰しない。
二度と戻らない。
生身の人間は、鬼のようにはいかない。
何故奪う?何故命を踏みつけにする?」
元は同じ人間だっただろう?
<堕姫side>
堕姫「(この言葉、どこかで聞いた。)」
一体、どこで………
??『何が楽しい?何が面白い?
命を何だと思ってるんだ。』
堕姫「(誰?知らない。)」
炭治郎「どうして分からない?」
??『どうして忘れる?』
これは、アタシじゃない。
アタシの記憶じゃない。
細胞だ。
無惨様の細胞の記憶……。
炭治郎「人間だっただろうお前も、かつては。
痛みや苦しみに踠いて涙を流していたはずだ。」
五月蝿い、五月蝿い!
ドゴッ!
堕姫「ごちゃごちゃごちゃごちゃ五月蝿いわね。
昔のことなんか覚えちゃいないわ。
アタシは今鬼なんだから関係ないわよ!
鬼は老いない!食うために金も必要ない!
病気にならない!死なない!
何も失わない!!」
そう、何も失わないのよ。
堕姫「そして美しく強い鬼は
何をしてもいいのよ……!!」
炭治郎「分かった、もういい。」
馬鹿の一つ覚えみたいに突っ込んでくる
ムカつくガキ。
今すぐ殺してあげる。
【血鬼術“八重帯斬り”】
堕姫「(さぁ、止まれないでしょ。馬鹿だから。
逃げ場の無い交叉の一撃。)」
花街を支配するために分裂していた
私の体。
一つに戻ったらその速度は比じゃないのよ。
血鬼術でもない攻撃で手一杯だった
アンタじゃもう無理。
堕姫「(お終いね、さよなら。
その鈍ごと斬ってあげる。
アタシは柱の方に行くから──)」
【ヒノカミ神楽“灼骨炎陽”】
目の前に、炎が現れる。
それと同時に酷い痛みが体を走る。