第8章 遊郭編
<NOside>
【萩本屋・伊之助】
伊之助「遅いぜ!!もう日が暮れるのに
来やしねぇぜ!!惣一郎の馬鹿野郎が!
俺は動き出す!猪突猛進をこの胸に!!」
炭治郎を待つ事に限界になった伊之助は
天井へ頭を突き刺し、宇髄の使いである
“忍獣”ムキムキねずみに刀を返してもらう。
邪魔な着物を脱ぎ捨て、隊服へと戻ると、
伊之助「行くぜ鬼退治!!猪突猛進!!」
そう言って窓から出て行った。
・
・
・
・
【善逸と雛鶴が行方不明になった“京極屋”】
京極屋の旦那が、一人部屋で血が付いた
女性物の着物を静かに見ていた。
宇髄「善子と雛鶴はどうした。
簡潔に答えろ。問い返す事は許さない。」
その旦那の背後に現れた宇髄は、
クナイを喉へ当て静かに問い掛けた。
突然の事に冷や汗をかき、震えながら
旦那「善子は消えた。雛鶴は病気になり切見世へ…。」
問われるがまま答えるしかなかった。
宇髄「………。心当たりのある事を全て話せ。
怪しいのは誰だ。」
旦那は答えなかった。
ハッハッ…と小刻みに呼吸をし、
酷く怯えていた。
宇髄「信用して言え。そいつは必ず俺が殺す。
仇を討ってやる。」
そう言われると、旦那の脳内には2日前に
転落死したお三津が浮かんだ。
旦那「蕨姫という花魁だ。
日の当たらない北側の部屋にいる…!!」
涙を溜め、断言した旦那。
その数秒の間、旦那は聞こえなくなった宇髄の
声に後ろを振り返る。
そこには、誰の姿もなかった。
・
・
・
・
【蕨姫の部屋】
教えられた部屋へと窓から中を覗くと
もぬけの殻。
宇髄「(いない。人を狩りに出ているな。)」
近くに鬼の気配はなく、宇髄は部屋から
屋根へと移動し、雛鶴の元へと向かい始めた。
宇髄「(鬼の気配を探りつつ雛鶴の所へ行こう。
まだ生きていれば情報を持っている筈だ。)」
音もなく、屋根から屋根へと飛び移り
切見世へと向かう。
宇髄「(どの道夜明けには鬼も此処へ戻る筈。
俺の手で必ずカタをつける。)」