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蒼き龍の逝きる意味

第8章 遊郭編


京極屋を出た後、裏へ回り屋根へと飛び上がる。
そのまま目を閉じ、我妻善逸の気配を探る。

焰「(…ここから左へ行った角の部屋。
ん………?あいつの気配と混ざるように何かが居る…。)」

これはまずい…。
そう思った瞬間、近くにあった窓から
中へと飛び込み今さっき探った部屋へと
全力で向かった。

ガラッ!

襖を開けるとそこはもぬけの殻。
だが、布団が敷かれているが
掛け布団が捲れ、ズタズタに引き裂かれていた。
鬼が、確実に居た形跡だ。

焰「…チッ、一歩遅かったか。」

恐らく、人間達の動きを読み
太陽に当たらないよう慎重に隠れて
俺の気配に気付き早急に逃げた所だろう。

その証拠に既に気配は薄れていて、
辿るのには少し無理がある。

焰「あいつに報告を……、…。」

ゾワッ

一瞬、嫌な感覚が体を走った。
その場を飛んで移動すると、素早い動きで
長い何かが俺へと襲い掛かってくる。
これは、帯……っ?

焰「お前か…。我妻善逸をどこへやった…。」

躱しながら問い掛けるが、答える気配はない。
寧ろ、追い詰められているのは俺かもしれない。

焰「(刀、は…預けたままだ。
なら、これで一瞬の隙を…。)」

丸腰と思うのは、間違いだな。
グッと草履のある部分に力を加える。

シャキンッ

草履のつま先部分から日輪刀が出てくる。
所謂仕込み刀というもの。

焰「シィイイイィィイィイィィ……!」

ボボボッ!

【炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天】

ザシュッ!

斬った、が……浅い。
ならば、もう一度………

??「アンタ、男にしちゃ綺麗な顔してるじゃない。
その瞳も、いいわ。食糧にしてあげる。」

そう声が聞こえたと同時に、帯に巻き付かれる。
藻掻いて、気付く。

焰「(体が、無くなっている…?)」

視線を体に向ければ、帯に巻かれていた足は
腰の辺りまで無くなっていた。
痛くはないから、恐らくは帯の中に
仕舞われているのだろう。

焰「(これは、厄介だ…。
任務を遂行できない…。)」

首まで既に仕舞われてしまった俺は、
抵抗する事も出来ずそのまま……

焰「(後は頼んだ、音柱。)」

歪んでいく視界の中、意識を手放した。
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