第8章 遊郭編
<NOside>
焰が来る少し前。
旦那「いなくなった?」
女性3「はい、あの…。善子なんですけど、
黄色い頭の…。気を失っているのを
寝かせていたんですが、部屋に居なくて…
捜させますか?」
善逸が突然姿を消したのだ。
旦那は算盤で書類の整理をしたまま
女性の方を見もしなかった。
旦那「やめろ!!もういい捜すな!
“足抜け”だ!俺は知らん!!
どこかへ逃げたんだろう!放っておけ!!」
そう言う始末。
女性はそんな旦那に、それでも心配だからと
説得しようとする。
女性3「でも、旦那さん…」
そう声をかけた途端、算盤が女性近くの襖に
ガシャッ!とぶつかる。
旦那「黙らねぇか!!下がれ!!」
女性3「キャアッ!(怯」
旦那「二度と善子の話はするな!!
皆にもそう伝えておけ!
蕨姫花魁の気に障るような事をするからだ!
善子も、お三津も…!」
そう言う旦那の顔には汗が貼り付いていた。
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<焰side>
我妻善逸と合流するため、日が暮れた頃京極屋へ
客として入る。
女性1「あら、いい男の人だこと!
指名がまだならアタイにしないかい?」
焰「…折角だが、俺は奇抜な頭の色の子が
好みなんだ。例えば、黄色の頭とか…。
言い値は出す、新しい子でも構わん。
居るか?そういう子は。」
俺がそう言うと、皆が顔を暗くさせて俯く。
……なんだ?この雰囲気の重さは…。
女性2「お兄さんの好みに合いそうな子は
今ちょっと…、今日は休ませてて…。」
焰「休ませてる…?なんだ、体調不良か?」
女性2「…え、えぇっ、そんな所ね。」
焰「……ふむ、そうか。なら今日はやめておこう。
旦那さん、お喋り料だ。受け取ってくんな。」
袋に少し多めに金を入れて渡す。
旦那は気付いてるのかいないのか、
そのまま「ありがとうございます」と笑う。
焰「(この旦那も、この女も何か隠してるな…。)」
仕方ない、我妻善逸の気配を辿って
忍び込むか。