第8章 遊郭編
<伊之助side>
【荻本屋】
女性1「まきを(・・・)さん、
大丈夫かしらね。
部屋に閉じ籠って出て来ないけど。」
女性2「具合が悪いって言ったきり病院にも
行かないし、そろそろ女将さんに
引きずり出されちゃうわよ。」
女性1「私今ご飯持って行ってあげたのよ。
とりあえず部屋の前に置いてきたけどさ。」
屋敷の中をうろついていると、話し声が聞こえた。
曲がり角の所で話を聞いていると、
聞き覚えのある名前が聞こえてきた。
伊之助「(“まきを”!宇髄の嫁だ。
やっと名前を聞けたぜ。)」
どうやら具合が悪いらしく、
部屋から出てこれない程らしい。
伊之助「(具合が悪い……それだけで連絡が
途絶えるか?行ってみるか。)」
違和感を覚えた俺は、さっきの女が歩いてきた
道を辿る。
タッ
伊之助「………。」
暑い!脱ぎたいぜ 脱ぎたいぜ!!
こんなモン着てたら感覚が鈍って仕方ねぇ!!
こんなモンさえなけりゃすぐにでも
鬼を見つけてやんのによぉ!!
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宇髄「お前は声が太いから絶対喋るなよ。
裏声も下っ手クソだから、すぐ男だってバレるぞマジで。」
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ギリギリギリギリギリ
※建物の中で暮らす、着物を着るなどの生活は
伊之助にとって拷問に近かった。
喋れないと情報の収集にも難儀する。
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<NOside>
ギシギシギシギシ
??「さぁさ、答えてごらん。
お前は誰にこの手紙を出していたの。
何だったか、お前の名は。
ああそうだ、“まきを”だ。
答えるんだよ、“まきを”!」
まきを「(情報を……伝えなくては。
他の二人とも連絡が取れなくなってる。
何とか外へ…早く…。
あの人の所へ……天元様……。)」
得体のしれない何者かに、帯状の物で
縛り上げられているまきを。
その何者かは、誰かの気配を察知した。
??「また誰か来るわね。“萩本屋”は
お節介の多いこと。」
ギシッ
まきを「ぐっ…!」
まきをを更に締め上げると、
??「騒いだらお前の臓物を捻り潰すからね。」
そう言って脅す。