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蒼き龍の逝きる意味

第8章 遊郭編


<NOside>

部屋の外では、部屋の戸に近い曲がり角で
様子を窺う伊之助。

シン…と廊下は静かだが、なんとなく
異様な雰囲気があった。

伊之助「(妙だな。妙な感じだ。
今はまずい状況なのか?わからねぇ…。)」

手の付けられていない置かれたままの食事。
人が居るとは思えない静けさ。

伊之助「(あの部屋…“まきを”の部屋。
ぬめっとした気持ち悪ィ感じはするが…。
……………。)」

このままでは埒が明かない気がした伊之助は
ダッ!と部屋に向かって走り出す。

??「!!」

ガッ バン! ヒュウ…

伊之助「(風…窓もあいてないのに。)!」

部屋中が鋭利な刃物で切り裂かれたが如く
窓も壁も床も布団もズタズタだった。

そして、風の吹いている場所を伊之助は
特定する。

伊之助「(屋根裏!!やっぱり鬼だ!!
今は昼間だから上に逃げたな!)」

そう判断するや否や、横にあったうどんの入った
茶碗を伊之助は掴む。

伊之助「おいコラ!バレてんぞ!!」

そう怒鳴るとともに天井へ茶碗をぶつける。
パキンッ!と茶碗が割れる………すると、

ドッ!!バタバタバタッ!ドンッ!!
ギシッ ギッ ギシッギシッ

物凄い勢いで何かが屋根裏を逃げていく。
それを伊之助は逃すはずもなく、追いかける。

伊之助「逃さねぇぞ!!」

伊之助「(どこへ行く!?どこに逃げる!?
天井から壁を伝って移動するか?
よしその瞬間に壁をぶん殴って引きずり出す!!)」

バタバタバタッ!!

左は曲がり角。目の前は壁。
伊之助は勢いのまま、その鍛えた腕を振り上げる。

伊之助「(ここだ!!)」

振り下ろすままに壁に穴を開けようとするが、
横から突然、ヒョイっと男が顔を出した。

男「おおっ、可愛いのがいるじゃないか!」

伊之助はその男に容赦なく、顔面へと
鍛えた腕で振り下ろした拳が当たる。

ゴッ!バキャッ!!

男は左目を中心に拳が当たり、
後ろの壁へと後頭部が埋まった。

女性1「キャーーーーッ!!(汗+真っ青」

女性2「殴っちゃった…!!(汗+真っ青」

伊之助は男の事を気にする様子もなく、
鬼を逃した事が頭を占めた。

伊之助「(クソッ!しくじった!!
下に逃げてる!!)」
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