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蒼き龍の逝きる意味

第8章 遊郭編


宇髄「あっそ、お前は鬼擬きだから
鬼に目なんざつけられねぇだろうよ。
んで、ときと屋は?」

俺の嫌味が言ってもなんの表情の変化もない。
クッソ地味な奴だな。

焰「最近また“足抜け”があったらしい。
店番のあんちゃんが言ってた。
【最近“足抜け”が多い】ともな。」

“足抜け”か……。鬼にとっちゃ都合がいいな。
恐らくは足抜けした奴は鬼に食われてるだろうな。

宇髄「足抜けした奴の名前は。」

焰「…それが、どうやら【須磨】と言うらしい。」

宇髄「!!」

須磨が足抜け!!?
有り得ねぇ、あいつは仕事を放棄して
自分だけ逃げる奴じゃねぇ!

焰「詳しい所までは分からなかった。
ただ、この遊郭に潜んでいる鬼は上弦かもしれん。」

淡々と物を言う鬼擬きに腹が立った。
俺はそいつの胸倉を掴む。

宇髄「詳しい所までは分からなかっただぁ?
なんの為に情報収集してんだよ。役立たずが。」

そこまで言ってハッとする。
流石に言い過ぎた。あいつらよりも
情報収集が出来ているのに、役立たずな訳…

焰「その渾名の通り、鬼に話を聞ければ
良いんだろうが…役に立てずにすまないな。」

宇髄「!」

胸倉を掴まれても表情一つ変えることなく、
寧ろ「そうだな」と言う始末。

宇髄「(気持ち悪ぃ奴…。)」

冨岡以上にここまで腹の中が見えない奴は、
嫌悪を通り越してただただ不気味だ…。

パッと胸倉を掴んでいた手を離し、
シッシッと手で払う。

焰「……また何かあればすぐ報告しよう。」

リンッ…

そう言ってすぐに居なくなった鬼擬き。
俺の中に燻った気持ちの悪いモヤモヤは、
消えてはくれなかった。
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