第8章 遊郭編
<NOside>
吉原 遊郭
男と女の見栄と欲、愛憎渦巻く夜の街。
遊郭・花街はその名の通り一つの
区画で街を形成している。
ここに暮らす遊女達は貧しさや借金などで
売られてきた者が殆どで、
たくさんの苦労を背負っている。
その代わり衣食住は確保され、
遊女として出世できれば裕福な家に
身請けされることもあった。
中でも遊女の最高位である“花魁”は別格であり
美貌・教養・芸事、全てを身につけている
特別な女性。
位の高い花魁には簡単に会うことすら出来ないので
逢瀬を果たすため、男達は競うように
足繁く花街に通うのである。
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ときと屋女将「いやぁこりゃまた……。
不細工な子達だね…。」
そういう女将と主人の目の前には
厚化粧され、元の顔の原形がない炭治郎達の姿。
ギョーーン
ときと屋主人「ちょっとうちでは……、
先日も新しい子入ったばかりだし悪いけど…。」
そうやって断ろうとする主人。
しかし、女将は宇髄の顔を見て、
ときと屋女将「…。まぁ、一人くらいならいいけど。」ポッ
頬を染めながらそう言った。
宇髄「じゃあ一人頼むわ。悪ィな奥さん。」
ジャラジャラと付けていた額当てはなく、
隊服から着物へと着替えた宇髄は、
まさに色男だった。
ときと屋女将「じょあ、真ん中の子を貰おうかね。
素直そうだし。」テレテレ
炭治郎「一生懸命働きます!」
炭子 就職決定
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宇髄「ほんとにダメだなお前らは。
二束三文でしか売れねぇじゃねぇか。」
舌打ちをしながら言う宇髄。
すると、とんでもなくキレた善逸は
ため息をつきながら低い声でこう言った。
善逸「俺アナタとは口利かないんで…。」
宇髄「女装させたからキレてんのか?
何でも言うこと聞くって言っただろうが。」
善逸「(女装なんかどうでもいいんじゃボケが…。
オメーの面だよ。普通に男前じゃねぇか。
ふざけんなよ。)」
宇髄の男前な顔を見て、ただ嫉妬して
般若のような形相でキレているだけだが
心の中の文句が多い善逸。
伊之助「オイ!なんかあの辺人間が
ウジャコラ集まってんぞ!」
ざわざわ
そんな伊之助の言葉に宇髄が目を凝らす。
宇髄「あー、ありゃ“花魁道中”だな。」