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蒼き龍の逝きる意味

第7章 第7章 休養中編


<煉獄side>

用を催し、朝日が登り始めた頃俺は目を覚ました。
厠へ行こうと、縁側を通れば裸足で…
羽織りも羽織らず患者服のまま中庭に立つ焰が
視界に映った。
具合が悪いのかと近寄るも返事は無く、
振り返ることもしない。
そんな焰に焦りを覚え、肩を掴んで振り向かせる。
朝日が登り、辺りは明るくなった。
そこで目に映した彼女を見て時が止まった。

そして、この腕の中に閉じ込めなければ、
彼女が儚く消えてしまうと思った。

朝日に照らされた焰の姿は…、まるで……

煉獄「(天へと帰る神のようだ…。)」

その留紺に近い色の髪は、光を浴び一層妖しく輝き、
その納戸色と白群色に近い色の混じった瞳は、
光を反射させ、更に神秘的に輝いている。

白いその肌は、焼けることを知らず
光を受け更に白く輝き、彼女の存在を引き立てる。

そんな事を考えながら、彼女に具合が悪いのか、
何かあったのかと問いかけるがやはり返事はない。

どうしたものかと思っていると……

焰「…………綺麗だ。(ポツリ」

無意識に零れたのであろう言葉が
俺の鼓膜を揺らした。

しまった、という顔をするそんな彼女を
失いたくなくて、俺は彼女を抱き締めた。

焰「…えんば、し…ら……………」

焰は、言葉を飲み込み俺の背中を撫でてくれた。
その手から伝わる温もりが、俺を安心させてくれた。

煉獄「……もう暫く、このままで居させてくれ…。」

思った以上に、か細くなってしまった己の声。
彼女にはどう聞こえただろうか…。

焰「……。」

焰は何も言わなかったが、背中に回された腕が
離れなかったという事は、是の意味だろう。






暫くの間、その場で焰と抱き締め合い
潔く離れることが出来た。

先程よりも高くなった太陽が、俺達を照らす。

煉獄「すまない、嫌だったろう。」

抱き締めた事への謝罪をする。
彼女は嫁入り前なのだ、好きでもない男に
抱き締められたら不快だろう。

焰「……謝る必要は無い。嫌なら触れた時点で
シバき倒しているところだ。」

煉獄「!」

それは、俺に触れられるのは…嫌では無いと
いうことか?
その言葉の意図は俺には分からない。

焰「…それに、少し……俺も気が弱っていたんだ。」

煉獄「………。」
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