もしも蒼月潮が大人しめの女の子だったら……【うしおととら】
第1章 どうしてこんなことに……
「学校から抜け出して家出したという可能性は!?」
「捜査本部は誘拐との見方を強めていますが!?」
「彼女らの荷物は校内に全てありますし、外ばきも…」
旧校舎前にはパトカーが何台も止まっており、物々しい雰囲気が漂っていた。テレビや雑誌の記者も大勢集まり、明らかにただ事ではなかった。中学校の女子生徒が、旧校舎へ入ったのを最後に、忽然と姿を消してしまったからだった。
「へーえあれが"てれぴんかめら"っつーのか。あの前にいきゃわしもあの"てれび"とかいう箱に入れるんだな」
オバケは呑気にそんなことを言っているが、私はそれどころではなかった。
「麻子…真由子…まさか、いや、まだ生きてるよね……」
「さあな、妖怪は気紛れだからなぁ。まだ楽しんでる最中か…もうとっくにバリバリ食われてるかもな!!」
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ザクッと鈍い音がしたかと思うと、右手に尋常じゃないほどの痛みが走った。見ると、手の甲に、女が持っていた獣の槍が深く刺さっている。女の髪は伸びて、尋常じゃないほど目の瞳孔は開ききっていた。
「いッ……いてー!!!!」
「まだ二人はまだ死んでないわ!!助けにいくから早く知ってることを話しなさいよ…!!」
「わーかったわかった!!!わかったから抜いてくれえ!!!」
女はみるみる内に人間の姿に戻っていき、髪も瞳も元通りになった。承諾すると直ぐに槍を抜き、刃先についたわしの血を持っていた布で拭き始めた。
「…ご、ごめん…でもあんた、こうでもしないと協力しないじゃない…」
(くそ、やはりあの槍相手じゃ全く調子出ねえ…)
ケガをさせたのは女の癖に、人間の姿に戻ると途端に申し訳なさそうにしやがる。今日といい昨日といい…てれぴんでやってた"にじゅうじんかく"ってやつじゃねえのか。調子が狂うとはこういうことか。
早いとこ槍を持ってねえこいつを食っちまわんと手に負えなくなるな……
ジャキッ
「……早く」
「わーったよ!!!!」