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もしも蒼月潮が大人しめの女の子だったら……【うしおととら】

第3章 とどのつまりめんどくさい


「えっ、蒼月さんしらないの!死にたがりの羽生って……手首みたろ」 

「自殺未遂4回だってよ…」

「へえー……」

 自殺未遂4回…何か悩みでもあるのだろうか。それにしても羽生か…どこかで聞いたような名前……

「あっ!!」

「「あ…?」」

「もしかして、羽生画伯の一人娘!?」

 後ろでがくっとクラスメートたちがずっこけるが、私はそんなことは気にも止めず、彼女が歩いていったクラスを見た。おどろいた、どこかで見た顔だとは思っていたけど、まさか同じ学校にあの礼子さんが通っていたなんて……

 私は、今すぐにでもモデルになってもらおうと立ち上がった。すると、後ろにいた男子に止められる。

「やめなって、羽生に近づいたやつは全員ロクなめにあってねーんだぜ!」

 聞くと、この学校では羽生さんに近づいた三人、前の学校でも三人、へんな事故にあっているらしい。命はとりとめたらしいけど、今でもケガは治っていないらしい。

「そいつら全員、考えられない事故なんだよ」

「そうなんだ……」

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 一週間後___________

「あのっ、羽生さんっちょっとまって…」

 そんな噂程度でモデルの件から身を引く私ではない。将来的に絵を描いて暮らしたい身としては、一度だけでも彼女を描いておきたいと思っているのだ。

「モデルの件、考え直してほしいの。私、羽生さんのお父さんの絵の大ファンで…お願い、羽生さんの笑った顔が描いてみたくて」

「……確かに、私は羽生の一人娘で、父は画家だったわ……」

 少し間を置いて、羽生さんがこちらを振り替える。

「父は死んだ。でも、死人は生者を呼ぶわ。死んだ父は私を呼んでる……そして…私は他人を巻き込むの。

 私に近づくと呼ばれるわ。死に_________」

 とらがまるで何かに気づいたかのようにピクッと耳を動かす。かなり凄みのある表情でこちらを見られた。その瞳は、まるで何かを見据えているようで……

 彼女は道の角を曲がり、姿を消す。

「ちょ、ちょっと…」

「やめとけ、この女にゃなにか憑いてるぞ!」

 道を飛び出した瞬間、横にいたとらが、なにか大きいものにぶつかったように見えた。
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