もしも蒼月潮が大人しめの女の子だったら……【うしおととら】
第3章 とどのつまりめんどくさい
みなさん、おはようございます。休日も終わり、学校へ登校している途中の蒼月潮です。突然ですが、私は今何をしているでしょうか?
「おめー、二年の蒼月か」
正解はなんと…三年生の間崎さんにガンを飛ばされていました…災難なんてものじゃないでしょ、これは。
とらにちょっかいをかけられ、それをいなしていると、前を見ていなかった私は顔から何か固いものにぶつかったのだった。ここは校門を通ってすぐのところだし、壁なんてないのにな~なんて思いながら頭を上げた私の顔はきっと、引き吊っていたに違いない。
それは、おっかないと悪い意味で評判の番格、間崎さんの背中だった。
「ごっ…ごごごめんなさい…!」
「…………」
間崎さんは無言で私を睨み付けている。せめて何か言ってほしいけど、そんなこと言って殴られたりしたら怖いし…
とらはといえば、おろおろしている私を後ろで見物しながらゲラゲラ笑い転げていた。くそー、そんなに面白いか。
僅かな望みをかけて周りの生徒たちに視線を向けるが、目があった途端みんなして綺麗に目を反らし、そそくさと学校の中に入っていってしまう。私に救いはないの!?
「_______わたしを、殴りなよ…なんなら殺してくれてもかまわない」
「羽生…おめえまだそんなこと言ってんのか」
「…羽生?」
みんなの視線が集まる場所へ、私も目を動かす。そこには、綺麗な長い黒髪をなびかせる、美少女が立っていた。うちの学校の制服を着ていたけど、まるで中学生とは思えないその美貌に、私はしばらく目を奪われていた。
「けっ」
間崎さんがそっぽを向いて三年校舎へ向かう。少しして、羽生と呼ばれた美少女が二年校舎へと歩いていった。
「あ、あの…」
「別にあなたを助けたわけじゃないわ」
クールな返し方だなぁと思った。私は呆然と立ち尽くしていたのが、彼女が校舎に入った後、お礼を言っていないことに気づく。
「死にたがりの羽生だ…」
「羽生礼子だ…」
「あいつはしゃれになんねえよ…!」
ざわざわと周りが騒ぎ出す。
「礼子…」
クラスメートの男子が話しかけてきた。
「蒼月さん!大丈夫だったか?」
「間崎さんに絡まれるなんて、災難だな…おまけに羽生まで…」
どうやら彼女は学校での有名人のようだった。悪い方の意味でだけど……