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もしも蒼月潮が大人しめの女の子だったら……【うしおととら】

第3章 とどのつまりめんどくさい


「いって~!ちくしょうめっ」

 槍が鳴り出し、ざわざわと髪が伸びはじめる。刃先はすぐ後ろでとらをはね飛ばしたそれに焦点を合わせ、一瞬にして私たちを中心に真っ二つに割る。

「と…トラック!?」

 大破したトラックは燃料が溢れ、少し炎があがったかと思うと、次の瞬間には爆風が辺りを包んだ。幸い、まだ獣化が溶けていなかったことと、槍がガードしてくれたお陰で、少し吹き飛ばされただけですんだ。

「いった…な、なにあれ……」

 目が霞む中、ぼんやりと、空中で何かがこちらを睨み付けているように見えた。数秒経ち、しだいにそれがこの世のものではなかったことに気づく。とらが反撃しにかかるが、それはひゅっ、と音もなく消えてしまった。

「ちっ、逃げられたか…」

「……あれが、今までの事故の原因…!」

 今さっき切ったトラックの残骸を見ながら、確かな確信を持つ。運転席には誰もいない……あいつだ。

 とらが言うには、今見たやつは鬼という妖怪で、人間を憎んで死んでいったのだと。

「おい…関わんのはやめとけよ。あんなんなってまで近づけたくないっつってんだ!わしゃ、おめーをあいつにくれてやるつもりはねえよ。

 聞いてんのか、おい、うしお!」

「鬼ね…」

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「ありがとうございましたー!」

「え、らっしゃい!」

 入る前から既にいい匂いが漂っており、道行く人々の足を止める。店の名前は青鳥軒、ラーメンの定食屋だ。私は引き戸を引いて、店の中に声をかけた。

「こんにちはー」

「おーっ潮ちゃんじゃねえか」

「あら、いらっしゃい潮ちゃん!ラーメン食べてく?」

「あ、お構い無く…」

 気さくに話しかけてくれるご夫妻。すごくいい人達で、小さい頃からよく可愛がってもらっている。ちなみに中村さんのご両親だ。

「お、どしたそのケガ?また運動部の助っ人かー!」

「ふふ、まーね」

「麻子、今出前だから、あがって待っててね」

「ありがとう、おばさん」

 ゴン…

 久しぶりの和やかな雰囲気だなぁと気を緩めていた隙をついて客を食べようとしていたとらを槍で叩く。うすうす気づいていたけど、とらはかなり丈夫だ。多分よっぽどのことがない限り死なないからこれくらいは大丈夫だろう。

「あれ、どーしたの?」
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