もしも蒼月潮が大人しめの女の子だったら……【うしおととら】
第2章 もとはといえば
「二人とも!後ろ!!」
「きゃっ/なにっ」
二人は私の声に驚き、ビクッと後ろを振り替える。私は次の瞬間、二人とも虫たちを怖がって家の中に駆け込んでくる場面を想像していた。しかし、二人はその場を動こうとしなかった。
「何してるの、虫が…!」
「もう、何もいないじゃない。びっくりさせないでよ~」
「あはは、驚いちゃった」
「え……?」
二人はまるで、玄関の外の"それ"が見えていないようだった。
「二人とも、本当に何も見えないの?」
「なにもって…なによ?」
やっぱり…
そうこうしていると、虫や魚が家の中に入ってこようとしているのが見えた。私は急いで二人を中に押し込み、鍵をかけさせる。
「ちょっと用事ができたから、私が帰ってくるまで開けないで!」
「えっ、うしおちゃん、どういうこと!?」
こうなった原因は、ひとつしか考えられない。私は井上さんの止める声も聞かず、一目散に蔵へと走った。地下室の入り口を押さえた物をどかし、中を覗きこむ。そこには相変わらず、今朝見たオバケが座ったままだった。
「ねえ!あんた、私の目になんかした!?
変なマボロシみるような術でもかけたんでしょ!」
「…くっくっく……」
「………な、なによ」
オバケは、大口を開いて笑いだす。たくさんの鋭いキバが覗いて、また私を身震いさせた。
「はーッはっはっはっはあ!!!!ばーか!!!そりゃわしの妖気が呼んだ虫怪や魚妖どもよ!!
この地下には、500年間のわしの妖気やうっぷんがたまっていた。
……それをお前が解放した!!妖気は流れ出て、この辺りの低級な小妖怪どもを引き寄せたのさ!!わしに接したお前は、そいうらを他のやつらより早く見られるだろうがなあ。見てろよ…
やつらはすぐに実体化して人を襲うぞ!!」
「そ…そんな…」
きゃあああああああああ!!!
二人の悲鳴が聞こえた。助けないと…!
「無駄だあ!他に人がいたのか……女だな。
お前には助けられんさ、あいつらはやっかいだからな。
………お前のせいだな!お前がここを開けなけりゃ良かったんだ」
そうだ、私のせい…私の……!!
「分かってるな、"わし"ならできるんだぜ!
へへっそのためにはこの槍がジャマだがなあ」
「……!」