もしも蒼月潮が大人しめの女の子だったら……【うしおととら】
第2章 もとはといえば
「ぃ、よいしょー…!!」
まずいぞ、ムシぼしなんてすぐに終わると思ってロングスカートを履いてきてしまっていたから、うまく踏ん張れない。
にしても重いな…!結構固く閉ざしてあるわこの扉……父さん秘蔵のエロ本とか出てきたらめっけもんだわ、しばらくそれをネタに揺すってやろうか。そんなことを考えながら取っ手を引っ張っていると……
ピキッ…ミシミシ……
段々と音が大きくなってきた。
「開いッ……え!?」
バキンッ
ようやく開くか、と笑顔になったのも束の間。思ったよりも底は低い位置にあったようで、私は扉を持ったまま真っ逆さまに落下してしまった。ドタドタと派手な音が響いたけど、幸いかすり傷ですんだようだった。
「いてて…蔵の地下にこんな広い部屋があったのね…」
私のアトリエ(自室)より広いんじゃないだろうか。父さんめ、私がごねるかも知れないからナイショにしてたな。
ゾクッ…
______________何かいる…!?
背後から何かの気配を感じ、恐る恐る後ろを振り向く。そこには、ライオンのような、トラのような私の体より何倍も大きい生き物が座っていた。
「人間か……」
「ひっ…喋った……!!」
喋ったってことは、ライオンでもトラでもない……もしかして、オバケ!?怖い……!
「おい、女。この槍を抜きな」
「や…槍……?」
よく見ると、オバケ(?)の肩あたりに長い棒のようなものが刺さっているのが見えた。そういえば、昔っから父さんに言い聞かされていた怖い話の中に、妖怪退治の槍がなんたらって話があったような……もしかして、これのこと…?
「どうした、女。さっさと抜かぬか」
ニタァ、と笑ったオバケが言う。
「…そ、それを…もし私が抜いたとして……あなたは、どうするつもり?」
何だか嫌な予感がしたため、質問をした。父さんの話の通りだと、もしかするとこのオバケは……
「ふふん!しれたことよ!!まずはおのれを食らって、昔のようにこの辺の人間どもを地獄へ引きずり込んでくれるわ!!」
やっぱり、人を食べるやつだ!!
「…ぬ、抜きません!」
「ああ!?」
「人の命が食い物にしか見えないオバケを、世に放つわけにはいかないので!し…失礼します!」
「なっ、ちょっと待て!おい女!」