第2章 有り触れた日常
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温かい体温にドギマギしながらも、が落ち着くまで、彼女を離すつもりはなかった。
わんわん、泣き声を上げる。
何か言葉をかけてやろうにも、ピッタリな言葉など出てくるはずもなく、ただただ、抱き締めること意外彼に為す術はない。
悪魔の末裔の彼女に、どうしてこうも構ってしまうのか、
心底自分の行動に疑問を抱いて、怒りを感じたが、彼女を突き放す事は、ライナーにはできない。
もう少し、このままでいい、と思う自分の気持ちが全く分からず葛藤に頭を思い悩ませる事しかライナーは出来ずにいた。
「あり、がと。ライナー。」
ライ「おう。」
沢山泣いたあと、はゆっくりライナーから離れた。
赤く腫れた目と、鼻。
まだ目には涙が溜まっていて、そんな彼女の様子に溜息がでる。
ライ「そろそろ皆が心配するから戻るぞ。女子の兵舎まで送ってやるから。」
「んっ、ありがとう」
ライナーは立ち上がると手をに手を差し出した。
は鼻をすすりながらライナーなの手を取る。
ライナーが握った彼女の手はまだ震えていて、完全に恐怖を断ち切った訳では無いという事が分かる。
ライナーは離そうとした彼女の手をギュッと握って、扉の方へと歩き出す。
「ら、ライナー?」
ライ「お前まだ震えてんぞ。」
「…………うん。」
はそんなライナーの手をぎゅっと握りなおして、静かにライナーの後をついて行く。
それだけで、少しは安心できたし、来てくれたのがライナーで本当に良かったと思った。
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