第3章 繰り返されるは悲劇か
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ライナーや、ベルトルト、アニが巨人を削いでいく中、はただ巨人の隙間を通ってそれらから逃げるしかなかった。
あともう少しでぶつかりそうだった手、もう少しで掴まれそうになった自身の足。
立ち向かおうにも立ち向かえない。嫌だ、止まりたい、止まったら、掴まる。死ぬ。
溢れ出す涙が宙に浮いて消えていく。
迫り来る魔の手から逃げるので精一杯なんだ。自分は何のためにここに来た?人類を救う為。それならば、闘わなければならない。
それは分かっているのに。
振れる筋肉に力を入れて、踏ん張る。1匹くらいは、倒さなくちゃ。
そんな彼女に真正面から巨人が現れた。
は手汗が滲む刃を握り、キュッと口を結ぶ。屋根を伝いソレに走り出して、アンカーを使い、巨人に切り掛かった。
だが、彼女に迫る大きい手。を握りつぶすべく近寄るソレに、彼女はヒュッと息を飲む。
ライ「!!!」
ベル「っ!」
アニ「……!?」
誰もが掴まれたと思った。彼女の姿が消えたと、そう思った。
「ごめんな"さ"いぃぃい"い"」
あともう少しの所で、は巨人の手を刃で剥いで、ソレから離れた。バクバク心臓がうるさく鳴り響く。まだしっかりと感覚のある足では走り抜けた。
ライ「あっ、危ねぇ!」
ベル「、大丈夫!?」
「だ、大丈夫…………っ、」
真っ青な彼女の顔色から、全く説得力を感じられず、ライナー達はもしもの事態を考えると背筋が凍る。
それでも彼等は進むしか無かった。周りからの悲鳴は鳴り止まない。
は分かっていながらも助けられない自分の力が酷く嫌いだと思った。
彼女が通り抜けるこの街はどこからどう見ても地獄でしかなかったのだ。
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