第2章 有り触れた日常
.
のシャツのボタンは半分以上あいていて、はだけたシャツの中に男は手を突っ込んでいる。
その手の先はの胸で、どうやら本格的に襲われているらしい。
「本当にっ、嫌!」
『なあ嘘だろ?お前こんな誰も来ない倉庫に呼ばれてノコノコ着いてきたって事は期待してたんだろうが。』
「そんなつもりじゃっ、……あっ、」
『ほら、感じてんじゃねえの?』
「違っ、…………」
いつもと違うの焦りながらも蕩け始めているあんな顔。ライナーは不覚ながらも少し興奮しつつあった。
このままここにいれば、見たことの無い彼女の顔が見れるんじゃないか、と変な感情が沸き起こる。
そんな自分を殴りたくもあったが、どうしても止められずにいた。
だが、の嫌だ、という声が自分の耳にこびりついて離れない。
それでも助けてあげる義理なんてない、ノコノコとついて行った馬鹿なアイツへの報いだ、なんだと言い訳をして、ライナーはずっとその様子を見ていた。
悪魔の末裔を、助けるなんてライナーにとって有り得なかったからだ。
『ほら、気持ちよくしてやるからな』
「ヤダ、ヤダっ、」
は男の服を掴んで離そうとするが、ビクリとも動かない。
これがミカサやアニなら、簡単に覆せたのだろうが、訓練の成績が中の下よりのには、大きな男を退かせる事など到底不可能だったのだ。
「嫌、嫌だよっ、助けて…………」
『いつもその締りのない顔で俺を誘うから悪いんだ』
の助けを求める声。そんな声も男を興奮させるには十分な材料。男の行為は加速するばかりだった。
「助けてっ…………らい、なぁっ」
が自分の名前を呼ぶ。
その声に、ライナーの身体は動き出した。バレる心配をすることもなく、足を進め気づいた時には男の手を掴んでいた。
.