第1章 大人と子供【完結】
「じゃ~ん、どんどん食べてね」
「の飯を食うのも久しぶりだな」
「本当、がいてくれると家事してくれるから助かるわ」
晩ご飯はちょっと手の込んだものを作ってみた。みんな本当に美味しそうに食べてくれるから嬉しい。
「向こうで覚えた料理とかも色々と作るね」
「お、新作もあるのか。楽しみだな」
普段一人暮らしだから、こうやって誰かの為に作るなんて久しぶりだ。
「……一郎くん、美味しい?」
「ウス!」
静かだから見ると、一郎くんはご飯やおかずを頬張っている。尋ねるとちゃんと目を上げて頷いた。
「一郎は食いっぷりがいいから見てて気持ちいいよな」
「がいると色んな料理が食べられるから期待してていいわよ」
「楽しみです」
笑うお兄ちゃんや母さんに真面目に答えてる。本当に楽しみにしてくれてるのかな、だったら結構嬉しいかも。
「夜食のおにぎりもちゃんと作っとくからみんな食べてね!」
「何だ、いつもより張り切ってるな。一郎が気に入ったのか?」
「そ、そんなんじゃないよ」
お兄ちゃんはすぐにからかってくる。そんなつもりはないのに、チラリと一郎くんを見るけど聞こえてないのか全く気にならないのか無言でご飯を食べてる。
「一郎くんなら息子になっても大歓迎よ~」
「うちに婿に来るのが嫌ならを嫁にどうだ?」
「ちょっとお母さん! お父さん!」
15歳なんてまだ子供なのに何言ってんだか。
「いえ、俺はそういうのはちょっと……家の事でいっぱいなんで」
一人焦る私と対照的に一郎くんは淡々と答えた。大人っぽいっていうかなんだか違和感がある。
「でも偉いよな、借金返すために頑張ってんだから。時間があれば今後も連絡しろよ。マジで一郎は即戦力になるから助かるぜ」
「ウス」
お兄ちゃんも本当に気に入ってるんだな。バンバンと背中を叩かれながらも一郎くんは味噌汁を啜ってた。