第1章 大人と子供【完結】
「、どうした?」
その場で立ち止まってるとお兄ちゃんがやってきた。
「お兄ちゃん……」
「その顔だと、一郎ん家の事情聞いたのか」
「何で先に教えてくれなかったの、失礼な事言っちゃったよ」
睨むけどお兄ちゃんは頭をガシガシとかいて困ったように眉をひそめる。
「どうせ知るんだし、他所は他所だろ。いつ知っても変わらないって」
「そうだけど……」
うちだって裕福と言えないのに私は大学行かせてもらって、何かあったらすぐに同じ境遇になってしまうかもしれない。
でも、一郎くんはまだ高校生だったのに、15歳なんてすごく楽しい年頃なのに。
「考えた末の結果だろうし、あいつももう諦めたって言ってた。お前が気にすることない」
「うん」
本当にそうなんだろうか。高校を止めるなんて私には想像つかないけど、とても辛いんじゃないかって思う。
「気になるならお前がここにいる間だけでもあいつに美味い飯食わせてやれよ。農作業に美味い飯はご褒美だからな」
俯いたままの私にため息をついたお兄ちゃんが頭を撫でた。
「わかった、頑張る」
私は農家の子だけど家の作業をやったことがない。けど、美味しいご飯を作る事ならできる。
「父さんも母さんも楽しみにしてるからな」
「うん!」
いくら考えても想像でしかない。考えを切り替えて準備をするため部屋に戻った。