第2章 変わる未来
夜になってローが部屋から出てくる。ジッと見つめられ、なんとも言えない気持ちで黙るしかなかった。
「…おい、いつまでそうしてるつもりだ」
呆れたように溜息を吐きながら、ローがお酒を取り出す。呆れてるというかむしろ不貞腐れてるようにも見えてきた。コップに注いだ1杯を一気に飲むともう既に2杯目を入れていた。
「はぁ…お前が嫌ならもうキスもしようとしねぇよ」
あぁもうこれヤケクソなんじゃないかな。そんな勢いで2杯目も飲みきったローを見ると申し訳なく思えてきた。
「…あ、の…」
「………なんだ」
「…わ、私も…」
ローが、目を見開く。私の言葉を待っている。ローが、期待している。
「わ、私も、お酒飲もうかな!」
「勝手に飲め!!」
ごめんなさい、意気地のない私でごめんなさい!
「こうなったらもうとことん飲め!」
「えぇもう、こうなったら飲みまくろう!」
あぁもう泣きそう!でももう戻るには遅い気がする…そして2人してやけくそになってお酒を飲んだ。飲んで飲んでそして気が付いたら…。
「みのり…お前、俺がどんな気持ちか分かってるのか…」
「えぇー、いや…あのう…」
「分かってるのかって聞いてるんだ!」
「あ、はい、分かってません、すみません!」
酔い潰れるのを避けようと思って合間に水を飲んでた私とは違い、ローはハイペースで飲み続けた。その結果珍しく酔っている。びっくりするぐらい酔っている。
「はぁー…お前は、本当に…俺が…どんな気持ちでいたのか分かってない…」
「いやまぁそりゃあローが私を好きってのが信じられないぐらいにはローも隠してたしね…」
「何で俺が隠してたのか、分かるか!」
「分かんないよもう!絡み酒って面倒臭いなぁ!!」
私を膝に乗せて抱き締めたままローが絡んでくる。なんか猫みたいにスリスリもしてくる。何だかもういっそ可愛く見えてきた。
「…ねぇ、ロー…私が、いつローの事好きだと気付いたか分かる?」
「あぁ?…んなの…分かる訳、ねぇだろ…」
「だよね…」
ローと見つめ合う。あぁー、恥ずかしいなぁ…前はこんな風に見つめ合っても安心して嬉しくって幸せだったけど…今はこんなにもドキドキする。
「…今なら、キスしても良いかも…」
声に出て、自分でビックリした。