第2章 変わる未来
みのりは、力なく項垂れた。どうした、と声をかけても返事をしない。後ろでドフラミンゴが気を失っているが、このままじゃいつ目を覚ますか分かったもんじゃない。
「みのり、とりあえずここを離れよう。今ここで俺が捕まらないなら先が大きく変わるはずだ」
本来ならここの戦闘で俺は気絶して捕まる筈だったが、みのりがいたからかみのりに多少やられたもののドフラミンゴが気絶している。これなら、大きく変わっていくかもしれない。
「…もう、いい…もう…」
面倒臭いよ、と聞こえた気がする。洗脳されたフリをしていたと言っていたあの時以上に生気の感じられない顔でみのりがそう言った。みのりは、全力を出したんだと思う。物凄い勢いで後ろにあった林へと身体が叩き付けられる。木がいくつか折れたが、多分俺の骨もいくつか折れただろう。
「うあっ…!く…な、に…を…」
「頭が、痛いの…考えたくない…もう、嫌…」
ブツブツと呟きながらみのりが近寄ってくる。どうにか体勢を立て直そうとするも身体が宙に浮き、次は地面へと強く叩き付けられる。
「どうせなら、全部壊すのがいい…未練も全部無くして…」
あぁ…俺と出会う前のみのりなら、こんな考えも捨てて死を選んだんだろうな。もし、俺達との出会いや過ごした日々を持ったみのりを裏切っていたら…今のみのりみたいになってたんだろうか。
「みのり…俺は…」
「もう聞きたくない!もういらない!何もいらない!全部壊して…今度こそ、私は死ぬんだ…!」
もう一度身体が宙に浮く。また叩きつけられるのか、そう思いながらみのりを見る。そして気付いた。
「っ…!みのり、後ろ…!!」
「え…?っ、あ…!」
いつの間にか立ち上がっていたドフラミンゴがみのりを蹴り飛ばした。それと同時に俺の身体が地面に落ちる。
「くっ…ドフラ、ミンゴ…!」
「フッフッフッ…ここまで、やられるのは…予想外だな…けど、俺がやる前にボロボロにされてて良かった…手間が省けたぜ」
そして、俺はろくに動けないままドフラミンゴに気絶させられた。みのりを助けてやれないまま…。