第2章 変わる未来
みのりはただ立っているだけだった。毒ガスが迫り来るこの状況で危機感を感じていないようだ。
「おい、 みのり。ここにいたら死ぬぞ」
試しに声をかけるも反応しない。近付けばまた みのりの能力で避けられるだけだろう。シーザーが最初に言っていた合図さえ分かればどうにかなるのに…。
「 みのり…少し手荒になるが、移動してもらうぞ」
諦めねぇ。このまま万が一 みのりが動かないなら みのりは死んじまう。そんなの…。
「絶対に許さねぇ…!!」
手を前に出し、ROOMを展開しようとした瞬間 みのりが瞬間移動で俺の後ろに移動する。振り向こうとしたその時、地面へと押さえつけられる。
「くっ…ぅ… みのり…!」
みのりが本気で力を使えば船だって浮かせる事が出来る。地面にめり込んでないって事はまだ本気は出されていない。どういう命令が下っているのかは分からないが、少なくとも俺が死なない程度には手加減するように言われているのかり
「死ぬ気でやられても…全力で抵抗するけどな…!」
みのりの能力では身体を分解させたところで意味が無い。心臓は既に取ってあるから怯ませる為に心臓を軽く握るなんて事も出来ない。目くらましも透視能力があるから無駄だ。 みのりの弱味は1つあるが、今の状況で効くかどうか…。
「いちか、ばちかだ…!」
シャンブルズで みのりの後ろにある机と位置を交換し、もしもの為に常に持ち歩いていた みのりの弱味を取り出す。
「これで、どうだ!」
続け様に机と弱味を交換すれば、 みのりの後ろ姿が固まった。
「効いたか…!」
固まり続ける みのりの後ろ姿を見て思い出す。ボア・ハンコックを見て固まり、何をしても反応しなかった みのり。まさかと思いペンギンがある玩具を目の前に出すと、気を失った。その時の玩具とは違うが、ここで みのりと再会してからもしもの為にと持ち歩いていた…。
「………お前、本当に蛇が苦手なんだな…」
手乗りサイズの動かない蛇の玩具を前に、 みのりはひたすら固まっていた。