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貴方と未来を過ごしたい

第2章 変わる未来




シャボンディ諸島を出航した後、みのりは暫く不機嫌だった。ベポが話しかけるとマシだったが、俺が話しかけても無視をする。


「…おい、いい加減にしろ」
「なぁみのり〜、キャプテンが自分勝手なのはいつもの事だろー」
「そうそう。自分勝手なくせに人の事助けちゃう所が魅力なんだから」
「お前らは黙ってろ」


さり気に褒めてくるとかなんなんだ。とりあえずペンギンとシャチにあっちに行けと目線でしめすと空気を読んで離れていく。みのりはと言うと眉間に皺を寄せて睨んでくる。


「みのり…何でそんなに怒ってんだよ」


溜息を吐きながら、みのりの傍へといく。逃げようともしないからどうやらこれは許されたらしい。


「みのり…そんなに俺が信用ならねぇか?」
「…そうじゃない」
「…なら、どういう事だ」
「………私がいるせいで、未来が変わったら怖い。それだけ」


そう言うと、みのりは寝室へと走って行った。今までに時折何か不安そうに考え込んでいる時があった。シャボンディ諸島へ向かうとなってからは特に。
みのりと初めて会った日を思い出す。あの日、あいつは確かに言った。俺達が出ている作品があったから俺を知っていると。つまり、あいつは俺らの未来の出来事を知っている。それがいつの事かは分からない。けど、あいつの様子を見る限り…ここから先を知っているんだろう。どこまで知っているのかは分からない…だが、あいつが心配しているのは多分…。


「お前がいるから、悪い未来になるとでも思ってるのか」


寝室のドアを開ければ、みのりはボロボロと涙を流していた。そしてオレを見るなり溜め込んでいたのか吐き出した。


「う、っ…く…こ、怖いの…今日、殆ど一緒だった…私の記憶の中では、何も…変わってないと、思う…ぅ…ひっく…でも、この後が、分からない…」


みのりは、この数年で変わった。自分に自信を持った。暗い顔をしなくなって、笑顔が増えた。戦いにも率先して向かっていった。俺との距離は近くなった気もするが、関係は変わらない。このまま、ずっと傍にさえいてくれればいい。そう思っていた。
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