第4章 ある日のハートの海賊団
「…甘いものって事か?」
「いや、あいつフルーツは進んで食べないから甘いものなら何でもって訳じゃないと思いますよ」
「…そういえば、珈琲とかも無糖で飲んでるな」
「だからまぁ、わざわざホットケーキって聞いてるからホットケーキなら可能性高いなって…」
「それなら結構確率は高いな」
因みにこの間みのりには俺の部屋にいるように言ったんだが…気配を感じて後ろを見たら普通にいた。
「おい…」
「いや、だって…いらないとは言ったけどお腹減ったし…干し肉は食べれるからそれでいいやって取りに来ただけなんだけど…」
「みのり、お前ホットケーキ好きかー?」
「え、いや別に?」
「え?」
「え?」
「え?」
腹が減ったのは仕方ない。ただ、こういう話はこっそり知らない内に事を進めて驚かせてやりたいもんなんだが…。そんな事を俺は思っていたが、話を聞かれてたかもしれないならとシャチが開き直って聞く。しかし、返答に意味が分からない俺とシャチ。みのりはと言うと更に意味が分からなさそうにしていた。
「あ〜…前にホットケーキ作れるか聞いたのは、単純にこの船ってオヤツとかは作らないし出さないじゃん?私のお菓子とかオヤツのイメージってホットケーキぐらいだから。そもそも甘いのはちょっとなぁ…」
「…そうか…」
シャチは当てが外れたようでじゃあ何なら勝てるんだ…とブツブツ言い始めた。みのりはと言うとそんなシャチを見つつ干し肉を取り出して齧り始めた。
「…嫌いなのは、ブロッコリーぐらいか?」
「嫌い、というか食べれないのはそれぐらいかなぁ。好きじゃないだけで甘い物も食べれるし…ただ、甘いというかくどい?のは食べ続けるとしんどい。だから油っこいのもあんまりなぁ…ろくな物食べてないから胃がすぐびっくりしちゃうんだよね。そもそも満腹まで食べれるなんてこの船来てからだよ」
みのりが話す内容から、こいつの過去の事をまた思い出す。聞いてるこっちの胸が痛くなりそうな話なのに…何でこいつ干し肉齧りながら平然と喋ってんだ。空気を読め。
「お前、せめて肉齧らず悲しそうにそういう事喋れよ…」
よく言ったシャチ。もっと言ってやれ。
「えぇ、悲しくないのに?」