第4章 ある日のハートの海賊団
「今後ブロッコリーは船に持ち込むな。あいつのトラウマらしい」
「トラウマ、ねぇ。因みにどんな?」
「二度とブロッコリーが食えなくなって良いなら聞かせてやる」
「逆に気になるなぁ…」
幸い、ブロッコリーが好物なんて奴はいないから船に持ち込まなくても大丈夫だった。この話はもうここで終わりで良い。次の話が大事だ。
「あいつの顔が思わず我慢出来ずに笑っちまうぐらいの好物があるかどうか、探せ」
「…それ面白そう」
「え、因みに見つけた奴にはなんかあるんですか!?」
「そうだな…出来る範囲で望みを聞いてやるよ」
「よっしゃ!じゃあ次の島に着いたら早速探さなきゃな!」
「うーん、みのりの好物かぁ…」
皆してこれならどうだろあれならどうだろうと想像している中、シャチが1人余裕そうにニヤニヤと笑っている。そんな様子のシャチに気付いたペンギンが話しかけてる。
「おい、何だよその顔」
「いやぁ、この勝負俺の勝ちだと思ってな…」
「な、もしかしてお前みのりの好物知ってるのか?」
「まだ確証じゃないけどな…何なら明日にでも試してみようと思ってる」
「マジかよ、気になる!」
これは意外だった。シャチが既に憶測がついている。という事は、今まで出した物の中に手応えのある物があったのか?しかし、みのりが今までに少しでも笑って食べる物なんてあったか?
「おい…俺だけに何か教えろ」
「えぇ〜…」
「良いから教えろ」
「あー…じゃあまぁ…」
何かさえ知れたらそれで充分だ。そう思ってシャチに無理矢理言わせると、案外予想外の答えだった。
「あいつ、1回だけ俺にお菓子は作れるのか聞いてきたんですよ。作れない事はないけど、作るってなったらそれなりの量作んないと他の奴らも欲しがるでしょ?そのせいで次の島までの貯蔵してる食料の量が足りなくなっても困るからって断ったんだ。特に表情も変えずに分かったって返事してたけど、わざわざ聞いてくるからには好きなのかなって」
わざわざ聞いてくる…確かにそれは怪しいな。
「因みに、どんなお菓子かは聞いてきたのか?」
「あぁ、その時は確か…」
『 ねぇ、シャチ…あのさお菓子とか…ホットケーキ、とか…作れないの?』