第4章 ある日のハートの海賊団
ブロッコリーが嫌いで逃げ回るってどこのガキだよ…そう思って、呆れた瞬間に みのりの顔が青ざめているのに気が付く。
「うっ…く、腐って、虫が湧いてるブロッコリー…無理矢理、食べさせられて…それからもう…本当に…無理で…」
「………」
「あのワサワサの所にビッシリと…しかも所々ベッチョリしてて…味なんてもう…」
「おいやめろ、俺まで食えなくなるだろ!」
「だからローだけに言ったんでしょ!?こんなの皆に言ったら今後一切ブロッコリー出ないよ!?」
予想以上にキツい理由だった。それは…確かに食えない。トラウマになってもおかしくない。いや実際トラウマになってるからこそ、あの逃げ様なんだろう。
「…分かった、皆には俺からブロッコリーにトラウマがあるとだけ言っておく」
「聞いても後悔するってローが言えば納得すると思う」
「だろうな…」
「あー、思い出すと気分悪くなってきた…」
「お前、今までよく見て平気だったな…」
想像しただけで気分が悪くなるのに、実際に体験した奴が実物を見てよく平気なフリをしていられる。
「見るだけならまだなんとかね…でも、食べるのは無理。口元近付けられただけで吐ける自信はある。匂いも味も駄目になっちゃったから…だから、ブロッコリーがついてた部分含めて皆の皿に移動させてる。ペンギン辺りが1番気付かず食べてるから楽」
「…別に、嫌いだから食ってくれって言ったら良いだろ」
「それは考えたけど…多分、遅かれ早かれこの結果になってた気がする」
…確かに、シャチは好き嫌いの理由次第じゃ食えって言い張るし…ベポも好き嫌いは良くないって怒る方だからな。
「ローのパンと梅干し嫌いは許容されてるのが謎」
「理由はともかく、俺に無理矢理食わせるなんて無理だろ」
「パンぐらい食べたらいいのに」
「…パンの何がいいんだ」
「逆に聞くけどおにぎりの何がいいの」
「米に勝てると思ってるのか」
「確かにお米は美味しいけどさぁ…」
とりあえず、 みのりの嫌い…というか、トラウマ食材としてブロッコリーは今後食卓に上がらせないようにするとして…。ふと思う。そういえばこいつの好きな食べ物は何なんだ?…好きな物、探してみるか。