第4章 ある日のハートの海賊団
その後、手の空いてる者で探し回っていると、ペンギンが見つけたと言って叫ぶ声がする。
「これ以上探させんなよ!」
「やだ、離して!」
声のする方へと向かうと、 宙に浮かぼうとする みのりの足にしがみつくペンギン。何か胸の奥がザワつく感じがするがとりあえずそれは置いておこう。
「 みのり!」
「っ、ロー…」
俺が声をかけるとみのりはまるで叱られて逃げ回っていた子供が観念して大人しくなるように、その場に留まった。
「一体、何が…」
「…今日はご飯いらないだけ」
「いつも残さねぇくせに…」
「今日は、そもそも食べないの」
「理由もなく飯を食わねぇのは医者として許さねぇぞ」
「…ダイエット」
「減らす肉どころか減って困る肉しかねぇだろ」
大人しく受け答えするも、頑なで明らかに嘘を言い出す みのりに思わず本音を言うと無言でビンタされた。
「どこ見て言ってんの」
「別に胸とは言ってねぇだろ」
「私だって今胸とは言ってない」
「………まぁ、それはいいだろ」
それはさておき、とりあえず今は逃げてまで何で飯を食わないかだ。
「…理由もなく食事を拒否して皆を心配させてる。シャチは自分の作った食事のせいだと落ち込んでる。その上でも貫きたい事なら勝手にしろ」
「う、そ、れは…」
こう言われて引き下がる性格で良かった。まだまだ みのりの性格は掴みきれないから、これでも強行されてたらお手上げだ。
「…ローだけなら、言っても良い」
「…俺が納得しなかったら口の中に無理矢理押し込むぞ」
「納得は…するかは、分かんないけど…どうせもう黙ってても結果は一緒なんでしょ」
「そうだな」
「じゃあ言う。でも!絶対、ローだけ!」
…そんなに みのりの性格を知らないとはいえ、これだけ頑なに俺にしか言わないと言い切るという事は…まさか、下らない理由じゃ?そう思いつつ、俺の部屋で2人きりになって みのりから理由を聞く。
「実は…その…今日の、野菜スープってさ…ブロッコリー入ってたでしょ?」
「…そういえば、珍しく入ってたな」
「今まで、ブロッコリーが出てもスープじゃなかったからさり気なく他の人のお皿に移動させてたんだけど…スープのは、ちょっと…移動出来ないなって…」
「…まさかお前、嫌いってだけで…?」